2025年1月9日
大成建設株式会社

　大成建設株式会社（社長：相川善郎）は、超高層建物の機械化施工・自動化施工を実現する上で重要な要素技術となる「ジャッキ方式」を規格化し、建築時と解体時に共通して使用することができる、機械化施工のプラットフォーム技術を確立しました。当社が開発したタワークレーン一体型昇降システム「テコアップシステム」^※1に用いるジャッキ方式と、閉鎖型解体工法「テコレップLightシステム」^※2に用いるジャッキ方式に改良を加え、超高層建物の新築工事と解体工事に適用できるようにしました。両システムのジャッキ方式の統合により、汎用性と生産性向上が可能となります。

　当社では、高さ100ｍを超える超高層建物の解体工法として、騒音・振動の発生や粉塵の飛散などを防ぎながら作業ができるなど、環境に配慮した「テコレップシステム（Taisei Ecological Reproduction System）」を2010年に開発し運用を開始しました。2020年にはジャッキ方式の機構を大幅に刷新して、鉄筋コンクリート造および鉄骨・鉄筋コンクリート造の建物の解体に使用できる、「テコレップLightシステム」^※3を開発しました。
　また、上記解体工法の開発・運用で培ったノウハウを応用して、本設柱を利用したジャッキ方式を採用し、1フロアごとに上昇させて新築工事を効率的に進めることができる「テコアップシステム」を2021年に開発しました。

　しかしながら、これまでの運用において、「テコレップLightシステム」に用いる反力部材は、柱部材の形状・寸法に合わせてその都度製作する必要があることから、施工品質の向上や工期短縮、コスト削減の観点から改善が求められていました。また、「テコアップシステム」では、ジャッキアップ後に本設の柱を継ぎ足していくため、昇降フレーム部の盛替えがより簡単な部材形状への改良が必要になっていました。

　そこで当社は、両システムに用いる反力部材をそれぞれ規格化し、「テコレップLightシステム」については柱サイズが異なる場合でも対応可能な調整機能を付加するとともに、「テコアップシステム」については容易に盛替え可能な部材を新たに開発することで、同一のジャッキ方式を両システムで使用できるよう汎用性の向上を図りました。また、それと同時に、ベース部ジャッキシステムの井桁部材寸法を2500mmに統一し、両システムで共通して使用できる形状・寸法に改良しました。（図1～図3参照）

　今回の規格化により統合を図ったジャッキ方式の適用実績は以下のとおりです。

　今後当社は、将来の機械化施工・自動化施工の実現に向けて、本ジャッキ方式を建築生産システムのプラットフォームとして位置付け、遠隔操作およびロボット技術などとの融合により、次世代の施工スタイルとなる「閉鎖型テコアップシステム」の実用化を目指してまいります。