環境配慮型解体工法『テコレップ-Lightシステム』を開発

適用可能な建物を拡大し、更なる短工期・低コストでの解体を実現

2020年2月25日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、周辺環境に配慮しながら超高層ビルの解体を実現する環境配慮型解体工法『テコレップ・システム』の最新バージョンとして、この度、『テコレップ‐Lightシステム』を開発し、東京都内の作業所において初適用しました。本工法は軽量屋根フレームユニットを使用して環境配慮のための完全閉鎖空間を構築します。また建物を解体し、既存柱を活用して閉鎖空間を繰り返し降下させます。これによって、従来の『テコレップ・システム』と比較し、工期、コストの削減が可能となりました。

 当社既開発の『テコレップ・システム』は、旧グランドプリンスホテル赤坂(赤プリ)などで適用した解体工法の総称です。超高層建築物の最上部に閉鎖空間を構築し、周辺環境に対して解体で生じる粉塵、騒音などの影響を最低限に抑え、上層部より解体、ジャッキダウンによる降下を繰り返えします。
 今回開発した最新バージョンの『テコレップ‐Lightシステム』は、ジャッキシステムの機構変更により、今までの『テコレップ・システム』の解体対象であった鉄骨造だけでなく、鉄筋コンクリート造及び鉄骨・鉄筋コンクリート造の建物にも適応が可能となりました。さらに、解体作業時においては、軽量屋根フレームの上部を作業床にして、既存建物の柱を切断すると同時に、屋根フレームに覆われた閉鎖空間でスラブ・梁・外壁の解体を行い、同時作業による効率化を図り、工期短縮を実現しました。(図1、写真1、2参照)

 今回、開発した『テコレップ‐Lightシステム』の主なる開発技術は下記のとおりです。

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    ユニット化した軽量屋根フレーム
    従来の『テコレップ・システム』が、既存屋根を利用して閉鎖空間を構築したのに対し、本システムは軽量屋根フレームとジャッキ架台を一体化した屋根フレームユニットを開発しました。規格部材を用いるため、より短期間で閉鎖空間を実現でき、既存屋根を使用する場合と比較し、屋根重量を約1/3ほどに減らせます。そのため、ジャッキダウンに使用する油圧ジャッキの数を大幅に減らすことが可能となります。

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    既存柱を利用したジャッキシステム
    従来のテコレップ・システムで使用しているジャッキ一体型仮設柱以外に、既存柱を利用したジャッキシステムを開発し、様々な形、太さの既存柱に合わせて設置できるフレームを開発しました。これにより、鉄骨造だけでなく鉄筋コンクリート造、鉄筋・鉄骨コンクリート造の建物にも適応可能となります。また、2本の柱で1つのジャッキを使用するシステムにより、ジャッキの台数を大幅に減らしました。

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    足場スライドシステム
    足場と屋根フレームを一体化することで、足場を建物に対して水平に支持し、台風・地震時においても安全なジャッキダウンを可能としました。

 今後、当社は『テコレップ・システム』シリーズのバリエーションで培ってきた各種要素技術を応用し、様々な建物にあった解体工法を展開してまいります。

『テコレップ-Light システム』 システム概念図(図1)
『テコレップ-Light システム』 システム概念図(図1)
『テコレップ-Lightシステム』を用いたビル解体 実施状況(写真2)
『テコレップ-Lightシステム』を用いたビル解体 実施状況(写真2)
ジャッキダウン直前の内部の様子(写真3)
ジャッキダウン直前の内部の様子(写真3)
  1. ※適用建物:竣工1973年2月 建物高さ76.4m、構造SRC造、一部S造、一部RC造。
    5日サイクルで一階ジャッキダウンを実施、20階を解体する。
    解体工期は、前準備を含めて延べ15.5か月を予定。