超高層建物の新解体工法「テコレップシステム」を開発

— 超高層ビルの解体を静かにエコロジカルに —

2010年2月23日
大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長:山内隆司)は、この度高さ100m以上の超高層建物における環境に配慮した新解体工法「テコレップシステム(Taisei Ecological Reproduction System)」を開発しました。

近年、日本には700棟以上の超高層建物(100m以上)が建設されています。これらの建物は建設時における先端技術を結集し、長期使用を考慮して建設されていますが、昨今の技術革新、要求性能の進化も著しく、今後は機能・性能の陳腐化などを理由に建替えられる可能性があります。
従来の解体工法は、クローラークレーンなどの揚重機および圧砕重機を用いて、建物の外周に仮設足場および防音パネルを設置するだけで、建物の上部が解放された状態で行われるのが一般的です。
しかし、建物が100m以上の場合、上空の風は通常でも地上の数倍にもなります。仮設足場や防音パネルなどの養生材の設置や撤去が高所危険作業となるほか、建物が高層になるほど仮設費用も高くなります。また、解体工事時に上部が解放されていると、作業不能日の増加や粉塵の広範囲への飛散及び解体部材の飛来落下の危険性、騒音・振動の発生などが懸念されます。

今回開発した新工法「テコレップシステム」では、既存屋根を有効利用し閉鎖された空間の中で、新築工事を巻戻し再生するように、内部の躯体・仕上げや設備機器を分解していきます。1フロア分解するごとに昇降装置が、システム全体を自動降下させていきます。分解したパーツは、クレーンで保護・荷下ろしし再利用を図ります。
また、本システムは、従来の解体工法における部材の飛散・落下、粉塵の飛散、騒音・振動といった問題を大幅に改善します。屋根は、仮設資材の軽減を図るため、既存屋根躯体をそのまま活用します。また、既存屋根躯体の下部にスライド式天井クレーンを配置し、荷降ろしの際に材料の自由落下エネルギーを利用した「荷下ろし発電」を行い、クレーンの動力のみならず、照明、散水、仮設機械の動力等に利用し、徹底的なエネルギー削減を図っています。

弊社は、本システムを循環型社会に貢献する次世代の環境配慮型解体工法と位置づけています。解体工事におけるCO2排出量削減や省エネルギー化はもちろん、解体工事を「壊す」のではなく「分解・再生する」というコンセプトのもと、分解した部材を再利用・再使用する総合的な建築物の循環を考えていきます。

本システムは、従来は実現が難しかった「敷地が狭い」「近隣など制約条件が多い」「都市部に立地している」「100m以上の超高層建物」などの厳しい条件下における最適な解体工法といえます。また、超高層建物解体棟数の増加が予想される中で、建設工事における地球環境負荷の低減を目指し、環境配慮型の解体を推進するとともに、解体工事を伴う都市再開発プロジェクトなどへの実施適用に向けて、顧客に対して積極的に提案を行っていきます。

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