リリース

四足歩行ロボットの遠隔操作・自律制御による巡回監視システム「T-InspectionX」 を開発

-建設現場への多機能ロボット活用により、現場管理の効率化を実現-

2024年10月28日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、「生産プロセスのDX」の一環として、TechShare株式会社(社長:重光貴明)と共同で、建設現場における施工品質や安全の確認などを遠隔操作または自律制御により巡回監視できるシステム「T-InspectionX」を開発しました。また、本システムを搭載した四足歩行ロボットを首都圏内の建設現場に導入し、その実用性を併せて確認しました。本システムは、建設現場での管理業務の効率化による生産性の向上だけでなく、竣工後のビル管理業務への活用のほか、病院・介護施設、工場・プラント、インフラ施設などの定常的な巡回・警備への利用、老朽化した施設のほか人の立ち入りが困難な危険エリアなどでの維持管理業務などにも幅広く適用できます。

 当社は、2021年5月に技術公表した四足歩行ロボットの遠隔操作システム「T-iRemote Inspection」について、継続して機能の改良および新規開発を進めており、今回、自律制御による巡回監視システムなどの新機能を搭載した「T-InspectionX」にバージョンアップしました。今回、現場導入した Unitree 社製の四足歩行ロボットは、安価でコンパクトながら優れた運動性能を備え、遠隔操作または自律制御により日々変化する現場状況に柔軟に対応が可能なため、現場管理業務の効率化を実現できます。本システムは現在、下記の5タイプの四足歩行ロボット(表1参照)に搭載可能で、その他の様々な機種のロボットにも自在に搭載できる拡張性や可用性に優れたシステムとして引き続き開発を進めています。

表1 T-InspectionXを搭載可能な四足歩行ロボットの仕様一覧
表1 T-InspectionXを搭載可能な四足歩行ロボットの仕様一覧

 「T-InspectionX」の特長は以下の通りです。(表1、写真1参照)

  1. 1

    建設現場の様々な環境条件での遠隔管理が可能
    日々変化する建設現場の環境条件に柔軟に対応できるよう、遠隔操作機能を決定づける前方カメラの改良を行いました。四足歩行ロボットの最新機種「GO2」本体に装備されている前方カメラに加え、3DLiDARの情報を可視化することで、全方位の障害物を正確に確認することができます。また、前方のパンチルトズームカメラは、4K画質、光学3倍・デジタル5倍ズームと大幅に性能が向上し、赤外線カメラの装備も可能です。

  2. 2

    自律巡回監視機能を搭載
    遠隔操作機能に加え、あらかじめ指定したポイントを自律制御で自動巡回する機能を搭載しています。全方位カメラ等を装備した四足歩行ロボットにより現場内の動画情報を自動で収集することが可能です。建設現場の状況に応じて適宜、ロボットの自律制御と遠隔操作を切り替えることで、確実かつスムーズに巡回監視を行えます。

  3. 3

    映像・音声通話による現場との円滑なコミュニケーションを実現
    現場と管理事務所間で映像・音声を遅延なく伝達できるよう、映像の品質や画面構成および音声通話の機能を向上させ、双方の円滑なコミュニケーションが可能です。

  4. 4

    システム搭載ロボットの運搬、設置の利便性を向上
    本システムを搭載した四足歩行ロボット本体、付属品専用ケ-ス、遠隔操作器具を専用ケ-スに収納可能で、運搬時および遠隔操作場所への設置時の利便性が向上します。

  5. 5

    自動給電への対応機能を搭載
    アームロボットを活用したロボット自動給電システム「T-ChargeX」※1と連携し、四足歩行ロボットのバッテリー残量に応じて適宜、自動給電されることで長時間の稼働が可能です。

  6. 6

    建設現場での自由自在な階間移動の実現
    建設現場において、ロボットの階間移動システム「T-MoveX」※2と連動することにより、自由かつ安全に階間移動を行うことが可能です。

写真1  T-InspectionXを搭載した四足歩行ロボット「GO2」の稼働状況
写真1  T-InspectionXを搭載した四足歩行ロボット「GO2」の稼働状況

 今後当社は、施工時だけでなく、建物竣工後の自動開閉扉や本設エレベータの稼働とロボット動作を連動させて、異なる部屋・フロア間を自由自在に往来できるようにするなど、本システムの適用可能範囲の拡大を図ります。また、施工から維持管理を含めた建物のライフサイクルに関わる統合管理システム「LifeCycleOS」※3と連携して活用できるよう、本システムの安全性や可用性の向上、各機能の改良を進め、更なる管理業務の効率化に努めてまいります。

  1. ※1

    T-ChargeX:様々な仕様のロボットに給電可能なシステム
    様々な仕様のロボットに自動給電可能なシステム「T-ChargeX」 を開発

  2. ※2

    T-MoveX:建設ロボット活用に不可欠な階間移動システム
    建設ロボット活用に不可欠な階間移動システム「T-MoveX」を開発

  3. ※3

    LifeCycleOS:BIMデータと建物の運用開始後に刻々と変化していく建物管理・運用に関する各種データ等を紐づけ、統合管理することができるシステム。
    業界初 BIMと建物の運用管理データを統合管理する「LifeCycleOS」を開発

DX認定
  • DX認定とは「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。