様々な仕様のロボットに自動給電可能なシステム「T-ChargeX」 を開発
2024年10月25日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、「生産プロセスのDX」の一環として、TechShare株式会社(社長:重光貴明)と共同で、様々な仕様のロボットに自動で給電が行えるシステム「T-ChargeX(以下、本システム)」(図1参照、特許申請中)を開発しました。本システムは、6軸アームを備えた移動式の自動給電装置「愛称:アームスタンド」により、メーカーの異なる様々な機種のロボットに1台で対応可能です。また、夜間の稼働時間帯でも複数機種のロボットに対して自動でバッテリー充電を行うことができ、より効率的なロボット活用が実現することで、さらなる生産性向上が可能となります。
生産現場では省力化・効率化に資するロボットの活用が急速に拡大しています。建設業においても、施工管理や資材の搬送、現場の清掃など幅広い用途でロボットが導入され、人力に頼っていた作業の負荷軽減と作業効率の向上などに貢献しています。これら様々なロボットをさらに活用するためには、メーカーや機種にかかわらず、バッテリー持続時間の長期化とバッテリー充電を自動で行うことが必要となります。充電の自動化については、ロボットメーカーにより自動給電装置の開発が行われていますが、個別ロボットへの充電に限定されるため、機種毎に充電装置が必要になることが課題となっていました。
そこで当社は、建設現場で活用する多様なロボットの開発を通して培ったノウハウを生かし、電圧や接続端子の形状・位置が異なる様々な機種のロボットに対応し、1台で自動給電が行えるシステム「T-Charge X」を開発しました。本システムは、バッテリー残量が少なくなったロボットが移動式台車に搭載された6軸アームスタンドまで近づくと、そのロボット種別に適したソケット状の給電端子を自動で選択・把持してロボットに接続し、自動で給電を開始する仕組みです。当社は首都圏の建設現場に本システムを導入し、「T-InspectionX」(四足歩行ロボット)や、超低床AGV(無人搬送車)および「T-CleanX」(清掃ロボット)に自動給電を行い、その実用性を確認しました。
本システムの特長は以下の通りです。(写真1~3参照)
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様々な種別のロボットへの自動給電に1台で対応
本システムは、ロボットに目印として取付けたARマーカーの画像認識により個別のロボットに適した給電端子を自動で選択できます。ソケット状の給電端子を6軸アームの先端で把持し、ロボットの受電端子に接続して自動給電を行います。本システムは、現状、清掃ロボット2機種、四足歩行ロボット1機種、搬送ロボット1機種に対応しています。 - 2
ロボットが近くに停止したらアームを伸ばして自動接続
それぞれのロボットにはあらかじめバッテリー残量が一定値以下になると自動給電装置の設置場所に移動するようプログラムされています。給電が必要なロボットが自動給電装置に近づき停止すると、アームを伸ばしてそのロボットに適した給電端子を接続します。ロボットの停止位置が多少ずれても、6軸のアームを備えているので、一定の範囲であれば角度や距離を計算して正確に端子部分に接続できます。 - 3
200V電圧の急速充電にも対応
充電時間の短縮を図るため、一般的な100V電圧に加え200V電圧での急速充電にも対応しました。これによりシームレスなロボットの稼働が可能となり、生産性のさらなる向上が実現します。 - 4
建設現場内での移動・設置が容易で効率的な運用が可能
6軸アームを備えた自動給電装置は移動式台車に搭載されており、現場内での移動・設置が容易に行えます。本システムと当社が開発したロボットの階間移動システム「T-MoveX」を併せて適用することで、自動給電装置は5フロア~10フロアに1か所程度配置するなどの効率的な運用が可能となります。
今後当社は、本システムを「生産プロセスのDX」の一環として開発・活用するロボットに広く適応させるとともに、バッテリー残量に左右されることのないロボットの稼働を実現し、夜間等でのロボット活用など、ロボットの普及展開の可能性を広げてまいります。
- ※DX認定とは「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。