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1時間耐火の大臣認定を国内初取得 CLT表層利用の耐火壁「T-WOOD®️TAIKA」を開発

木質感豊かな建築空間の創出と木材の利用促進を実現

2023年3月13日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、国内で初めて1時間耐火の大臣認定を取得したCLT※1表層利用の耐火壁「T-WOOD®️TAIKA」※2を開発しました。建築物の火災に対する安全性を確保しつつ、木質感豊かな建築空間の創出が可能となるとともに、木材の利用促進による脱炭素社会への貢献が期待できます。

 脱炭素社会の実現に向け、2021年に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、以降、建築物への木材の利用促進が一層求められています。また、木質仕上げの建築空間には木材特有の温もりがあり、意匠性にも優れているというメリットもあります。
 しかし、木材を部材の表層に利用した場合、火災による木材部分の燃焼が火災を長期化させる可能性があり、結果、構造部材である内部の鉄骨柱などが耐力を維持できず、崩壊してしまう可能性がありました。

 そこで当社は、壁部材としてCLTを表層利用しながら、CLTによって耐火被覆材(けい酸カルシウム板)を挟み込む構造を採用することで、長時間の火災に耐えうる木質耐火壁「T-WOOD®️TAIKA」を開発しました。
本木質耐火壁の特徴は以下のとおりです。

  1. 1

    長時間火災においても耐火性能を保持し、1時間耐火の大臣認定を取得
    CLTの燃焼により1時間以上の長時間火災になっても、耐火性能※3を保持することを耐火試験で確認した上で、1時間耐火の大臣認定を取得しました。

  2. 2

    意匠性に優れた建築空間の創出と、様々な樹種の使用による木材利用の促進
    壁両面の表層にCLTを利用しており、木材特有の温もりある意匠性に優れた建築空間を創出できます。また、樹種を問わないため木材の「地産地消」が可能です。

  3. 3

    軽量な耐火被覆材を採用し、施工性が向上
    従来の耐火被覆材に使用されてきた石こう系材料に対して、半分以下の重量である「けい酸カルシウム板」を採用しており、施工性が大幅に向上しています。

 今後、当社は、本耐火壁を建築物に積極的に適用し、意匠性に優れた木質仕上げの建築空間を提供していくとともに、木材の利用促進により脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

図1 本耐火壁の構成
図1 本耐火壁の構成
写真 1 本耐火壁の実験状況
写真 1 本耐火壁の実験状況
  1. ※1

    CLT(Cross Laminated Timber, 直交集成板):
    木材を縦割りにした板を繊維方向が直交するように積層接着した厚みのある木質系材料。

  2. ※2

    T-WOOD®️TAIKA:
    当社開発の木質耐火部材シリーズの名称。他に1時間耐火鉄骨柱および準耐火鉄骨柱を開発済み。今後もラインナップの拡充を図り、建築物における木材の利用促進に貢献する。

  3. ※3

    耐火性能:
    建築基準法などにおいて、火災が鎮火するまでの間、火災による建築物の倒壊および延焼を防止するために、建物の耐力壁や間仕切り壁・外壁・柱・床・梁などに求めている性能。
    CLTを表層に利用した本耐火壁は、1時間耐火の耐力壁として大臣認定を取得しており、建築物の最上階から数えて1階から4階まで適用可能。

関連情報

[参考資料]