集成材と鋼管柱を一体化したハイブリッド耐火柱「T-WOOD® TAIKA」を開発

木材による鋼管柱の補剛効果、耐火性、意匠性を備えた柱部材を公共建築物に初適用

2018年12月13日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、集成材と鋼管柱を一体化し、木材の働きによる鋼管柱の強度、変形に対する補剛効果、耐火性および意匠性を備えたハイブリッド耐火柱「T-WOOD® TAIKA」を開発し、この度、公共建築物に初適用しました。

 近年、低炭素社会の実現および国内林業の活性化や健全な森林育成のため、国産木材の利用が促進されています。2010年には「公共建築物等木材利用促進法」が施行され、住宅だけでなく事務所や教育施設、商業施設等の中・大規模建築物の木造化による木材利用にも期待が寄せられています。
 しかし、これらの建築物に適用される従来型の木質耐火柱部材は、建物の荷重を支持する木製の芯材部をモルタルや石膏などの耐火被覆材(燃え止まり層)で囲み、表層を集成材などの木材で覆う構造となるため、同等の支持力を持つ鉄筋コンクリ―ト構造や鉄骨造の柱と比べて断面寸法が大きくなり、室内で利用可能な床面積が減少するといった課題がありました。
 そこで当社は、木材を使用しながら鋼管柱単独構造と同等の荷重支持力を持ち、耐火性を確保できるハイブリッド耐火柱「T-WOOD® TAIKA」を開発しました。この柱部材は、鋼管柱の外周に耐火被覆用のけい酸カルシウム板を配置し、さらにその周囲を鋼管柱の補剛効果、耐火性および仕上げ材の機能を兼ねた集成材で覆い一体化した構造になっています。(図-1参照)

「T-WOOD® TAIKA」の特長は以下のとおりです。

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    ハイブリッド耐火柱で用いる集成材は、鋼管柱を補剛し、鋼管柱の軸力に対する強度を約40%向上させることが可能です。そのため、鋼管単独の柱と比べ本耐火柱では、同じ外形寸法の鋼管柱を使用した場合、鋼管柱の厚さを薄くできます。また、柱部材の断面寸法を25%程度小さくすることができ、室内で利用可能な床面積の増加が見込めます。

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    集成材は火災時には燃え代層として、また鋼管柱周囲のけい酸カルシウム板は火災時の燃え止まり層として燃焼を止め、各々の効果で鋼管柱の温度上昇を抑制します。

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  4. 集成材はそのまま仕上げ材として利用可能で、地元産の木材利用などにより地域産業の活性化をはじめ、国内林業の活性化や健全な森林育成にも貢献できます。

 なお、本ハイブリッド耐火柱は、構造実験および耐火実験を経て安全性を確認の上、1時間耐火の大臣認定および日本建築センターの構造評定を取得し、現在建設中のさいたま市大宮区役所新庁舎に適用しました。木材による鋼管柱の補剛効果、耐火性および意匠性を備えたハイブリッド耐火柱部材の公共建築物への適用は業界初となります。(図-2参照)

 今後、当社では、様々な用途・規模の建築物に本技術を積極的に適用し、国産木材の利用促進に貢献するとともに、木材利用に対する発注者のニーズにも的確に応えてまいります。

図-1 鋼管柱とT-WOOD® TAIKAの断面構成比較
図-1 鋼管柱とT-WOOD® TAIKAの断面構成比較
図-2 さいたま市大宮区役所新庁舎内観パース
図-2 さいたま市大宮区役所新庁舎内観パース