国内初 環境配慮コンを用いたシールドセグメント「T-eCon/Segment」を現場導入
材料製造過程で生じるCO2排出量を大幅に削減し、従来品と同等以上の性能を保持
2021年7月1日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、環境配慮コンクリート「T-eConcrete®※1」を使用したシールドセグメント「T-eCon/Segment」を開発し、この度、国内初となる下水処理場内の管路施設工事への導入が決定しました。本セグメントは、セメントを全く使用していないため、コンクリート材料製造過程で発生するCO2排出量を大幅に削減することができ、従来品と同等以上の性能を有しています。また高炉スラグ※2などを大量に使用することから、資源の有効利用にも貢献します。
当社は、建設分野におけるCO2排出量の大幅削減を目的として、従来のコンクリートに替わる新しい材料や施工法の開発、改善に取り組んできました。2014 年に開発した環境配慮コンクリート「T-eConcrete」は、普通セメント(ポルトランドセメント)の代わりに産業副産物の高炉スラグやフライアッシュ※3などを混合したコンクリートで、材料の製造過程で発生する CO2排出量を大幅に削減します。
そして今回、当社は、「T-eConcrete」を用いたシールド工事の構造部材であるセグメント「T-eCon/Segment」を開発し、海老江ウォーターリンク株式会社発注の大阪市内の下水処理場シールドトンネル工事において、2021年6月より、外径6.4mのシールドトンネルで用いるセグメント5リング分(延長6m)の施工を実施することとなりました。セメントを使わないコンクリートセグメントのシールドトンネルへの適用は、国内初となります。
本セグメントの特徴は以下のとおりです。(写真1~3参照)
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コンクリート材料製造時のCO2排出量を大幅に削減
本セグメントで用いるコンクリート材料製造時のCO2排出量は、従来のセグメントと比較して約7割を超える量を削減できます。 - 2
従来と同様の製造・施工方法で同等以上の性能を実現
本セグメントは、従来のセグメントと同様の方法で製作および施工が可能であり、強度・耐荷性・耐久性も従来と同等以上の性能を有しています。 - 3
高炉スラグの大量使用により資源を有効活用
本セグメントは高炉スラグを大量に使用(上記の導入現場では、外径6.4mのシールドトンネルに用いるセグメント幅1mあたり約3t超を使用)しており、資源の有効利用に貢献します。
今後、当社は、環境配慮コンクリートセグメント「T-eCon/Segment」を有効な環境対策技術の一つとして、都市部におけるシールド工事に積極的に採用することにより、CO2排出量の削減と産業副産物の有効利用を推進し、低炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。
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環境配慮コンクリート「T-eConcrete 」
産業副産物を利用し、材料製造に由来するCO2排出量を最大で 80%削減できるコンクリート。①ポルトランドセメントを使わないセメント・ゼロ型、②フライアッシュ活用型、③建築基準法対応型がある。これまでにレディーミクストコンクリート(生コン)や天然石材調建材 T-razzo®などに適用すると供に、更なる普及・展開に向け「T-eConcrete 研究会」を設立。
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2014/140909_3940.html
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2019/190705_4668.html
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210112_5022.html - ※2
高炉スラグ
高炉(溶鉱炉)で銑鉄と同時に生成される産業副産物。ここでは水によって急冷し、乾燥・粉砕した高炉スラグ微粉末。 - ※3
フライアッシュ:
石炭火力発電所で微粉炭の燃焼により発生する石炭灰のうち、集塵器で採取された灰。