CO2排出量を削減し、低コストで意匠性に優れた天然石材調建材「T-razzo」を開発
高炉スラグを用いて環境に配慮した擬石を技術センター実験棟に初適用
2019年7月5日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、建材の製造過程で発生するCO2排出量削減を目的に、低コストで意匠性に優れた天然石材調建材「T-razzo」を開発し、本建材を当社技術センター(神奈川県横浜市戸塚区)実験棟のエントランスピロティと屋外階段に初適用しました。
建設分野では、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出抑制に関して、セメントの一部を高炉スラグ※1などの産業副産物に置き換えることで、コンクリート製造時におけるCO2排出量を削減する取組みが実施されています。建物の内外装仕上材においても、希少となりつつある天然石などを使用する代わりに、天然石の素材に似せた建材として擬石などが使用されています。従来の擬石は、セメント系材料を使用して天然石材のような意匠性に優れた建材を実現するため、顔料による着色が良好な白色セメントを使用していました。しかし、白色セメントはすべて海外から調達せざるをえないことから材料コストが割高となるといった課題がありました。
そこで、当社では、環境負荷を低減するため、高炉スラグなどを用いてCO2排出量削減を目的に開発を進めてきた環境配慮コンクリート「T-eConcrete」※2の技術を活かし、コンクリート二次製品として、製造過程で発生するCO2排出量を大幅に削減し、低コストで意匠性に優れた天然石材調建材「T-razzo」を開発しました。
「T-razzo」の特長は以下のとおりです。
- 1本建材は、白色セメントの代わりに高炉スラグを使用して、セメント使用量をゼロとするため、製造過程で発生するCO2排出量を最大で約80%削減可能です。
- 2本建材は、高炉スラグを使用するため材料費を約10%低減できます。
- 3本建材は、高炉スラグと種石※3を混合し、表面を研磨して製造する天然石材調建材で、顔料による着色が良好で、混合する種石素材や様々な着色などにより、豊富なバリエーションを実現します。
今後、当社は、本建材の素材や着色などによる豊富なバリエーションを活かし、内外装の仕上材、外構資材などへの適用範囲を拡げ、さらなる普及に向け、積極的に提案を図ってまいります。
- ※1高炉スラグ:高炉(溶鉱炉)で銑鉄と同時に生成される産業副産物。ここでは水によって急冷し、乾燥・破砕した高炉スラグ微粉末。
- ※2環境配慮コンクリート「T-eConcrete」:環境配慮コンクリートは、高炉スラグやフライアッシュなどを使用してセメント使用量を減じることができ、“ゼロ”にすることも可能。一般的なコンクリートに対して材料製造過程で生じるCO2排出量を約10%~80%削減。
- ※3種石:コンクリート二次製品として人工的に製造される天然石材調建材(擬石)などに意匠性を増すために混合する天然の砂や砂利。