自律走行ロボット向け屋内外ワイヤレス給電技術の実証を開始
2024年10月16日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、建物内外を走行する汎用小型車両や自律走行ロボットに無線で電力を供給できるワイヤレス給電床「T-iPower® Floor」※1を当社技術センター内に設置し、その運用を支援するワイヤレス給電技術の実証を開始しました。本実証を通して、ワイヤレス給電の効果検証と課題抽出を行い、建物条件に応じた給電技術の確立および2026年度の実プロジェクト適用を目指し、技術開発を加速させます。
近年、人手不足解消や作業の効率化を図るため、AMR(自律走行搬送ロボット)やサービスロボット等(以下、ロボット)の導入が様々な業種で急速に進んでいます。これらのロボットの多くはバッテリ電力で作動しており、定期的に充電しなければならず、ロボットが充電のため休止している時間中もサービスや活動を継続させるためには別ロボットでの対応が必要となり、ロボットの導入台数やコストの増加につながるなどの課題がありました。
このような背景から当社は、これまで稼働中のロボットに床からワイヤレスで電力を供給できる薄型樹脂パネルを用いたワイヤレス給電床「T-iPower Floor」を建物に適用するための技術開発に取り組んできました。その一環として、この度、当社技術センターに「T-iPower Floor」を設置し、自律走行ロボットへのワイヤレス給電技術の実用化に向けた実証を開始しました。
本技術の実証では、自律走行ロボットに受電ユニットを搭載し、送電ユニットを備えた「T-iPower Floor」からワイヤレス給電を行います。(図1、2参照)システム構成、実証概要および期待される効果は以下のとおりです。
- 様々な形態でのロボット運用に対する給電技術を実証するため、基本方式の床面給電に加え、新たに壁側面から給電する方式を採用
- 建物条件に応じて最適化した「T-iPower Floor」を技術センター実験棟の通路床および屋外通路側壁に設置し、走行中のロボットに床面および側面から給電
- 実証場所
- 技術センター「材料と環境のラボ」の屋内(通路床)約5m区間で試験運用
技術センター「構造のラボ」の屋外(通路側壁)約20m区間で試験運用
- 実証期間
- 2023年10月~2026年3月
2023年10月~2024年5月:適用ロボット選定および運用試験にて課題抽出・対策検討
2024年6月~2026年3月:長期運用試験にて実用化に向けた課題解決、対策実施
- 実証内容
- ロボット稼働率の向上効果および送電ユニットの耐久性に関する検証
- ロボット稼働率:走行するロボットへ電力をワイヤレスで供給することによる充電頻度の削減等の稼働率向上に関する効果を検証
- 送電ユニットの耐久性:ロボットが繰り返し走行する床面からの給電方式および屋外環境下での側面からの給電方式について、それぞれ送電ユニットの耐久性を検証
- ロボット導入台数の削減によるコスト削減
- ロボットに搭載するバッテリ容量の小型化によるロボット本体のコストダウンおよび可搬重量の増加
今後当社は、本実証を2026年まで継続することで課題を抽出し、屋内外で稼働中の自律走行ロボットへのワイヤレス給電技術の実用化に向けた研究開発に取り組んでまいります。


- ※1
薄型樹脂パネルを用いたワイヤレス給電床「T-iPower Floor」を開発
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210104_5063.html