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国内初 人と空間のラボ(ZEB実証棟)が「LEED Zero Water」認証を取得

-新築・既存建物の環境価値向上と省資源・循環社会の推進に貢献-

2024年4月9日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、技術センター(横浜市戸塚区)の「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」で使用する「水」について、2022年10月より1年間にわたり技術実証を行い、この度、国内初となる「LEED※1 Zero Water※2」認証を取得しました。

 持続可能な開発目標「SDGs」における17の目標のひとつに「安全な水とトイレを世界中に」が掲げられ、世界的に水資源の有効利用への関心が高まっています。また、建物および敷地利用に関する総合的な環境性能評価システムに基づき審査されるLEED認証では、建物の更なる環境負荷低減と環境価値向上に向け、「水」、「エネルギー」、「炭素」、「廃棄物」に関して実質ゼロの達成を評価するためのLEED Zero認証制度が開始されています。

このような中、当社では、「人と空間のラボ(ZEB実証棟)※3」内で使用する水利用に際して、雨水利用のみ(2022年10月~2023年2月)に加え、新たに雑排水再利用システム※4の導入(2023年3月~9月)により得られた以下の成果を基に「LEED Zero Water」を達成しました。

  1. 1月間使用水量は、雑排水再利用システム導入後から雨水と再利用水の合計値が上水の値を上回りました(図1参照)。
  2. 2 年間使用水量は、雨水利用のみの場合と比較した結果、上水使用量が34%削減され、雨水・再利用水使用量が130%増加となり、全体使用量では雨水と再利用水(代替水)の合計値が上水を上回る状況を実現しました(図2参照)。

 今後当社は、新築・既存建物での雨水利用・雑排水再利用により上水使用量削減を推進するとともに、本実証の知見を活かして様々なお客様が保有する建物を対象にZero Water認証取得を支援し、建物の環境価値向上と省資源・循環型社会の推進に貢献してまいります。

写真1  人と空間のラボ(ZEB実証棟)
写真1  人と空間のラボ(ZEB実証棟)
図1 月間使用水量 図2 年間使用水量の比較
  1. ※1

    LEED(Leadership in Energy & Environmental Design):
    米国の非営利団体USGBC(U.S.Green Building Council)が開発・運用し、GBCI(Green Business Certification Inc.)が認証の審査を行っている建物と敷地利用についての総合的な環境性能評価システムであり、LEED認証は建物の環境価値の向上にもつながることから、海外では社内基準で認証取得を掲げている企業も存在する。なお企業による実証済みの「人と空間のラボ」は、プラチナ認証を取得している。

  2. ※2
    LEED Zero Waterの定義
    LEED Zero Waterの定義

    LEED Zero Water:
    LEED認証を取得したプロジェクトを対象にネットゼロ(正味ゼロ)の達成を評価するプログラムとして2018年にLEED ZERO Program Guideが公開された。LEED Zero認証は、「炭素(Carbon)」、「エネルギー(Energy)」、「水(Water)」、「廃棄物(Waste)」の4項目が運用されている。「水(Water)」については、年間の上水使用量に対して、代替水(雨水・再利用水)使用量と水源還元量の合計が同量以上となった場合にZero Waterと定義されている。LEED Zero Water認証の取得は、新築・既存建物の環境価値をより高めることが期待される。(「人と空間のラボ」では水源還元はなし)

    定義式:Water Balance = Total Potable Water Consumed –
    (Total Alternative Water Used + Water Returned to Original Source)

  3. ※3

    「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」での実証:
    「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」のゼロウォータービル化に着手(https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2023/230525_9542.html

  4. ※4

    雑排水再利用システム:
    トイレの手洗器や給湯室の流し台から排水される油分が少ない雑排水を原水として、浄化処理にかかる負荷を低減させた水処理システム