ハイブリッドコンクリートポンプ⾞によるコンクリート打設の電動化施⼯実証を開始
2024年3月18日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、当社が掲げるゼロカーボン・コンストラクション※1の取り組みの一環として、この度「呑川合流改善貯留施設立坑設置工事」(発注者:東京都大田区)において、コンクリート打設にハイブリッドコンクリートポンプ車を用いた電動化施工に関する実証を開始しました。
当社建設現場での電動化機材によるコンクリート打設の施工実績としては、これまで定置式の電動コンクリートポンプを用いた事例がありますが、今回、上記現場において自走式コンクリートポンプ車をハイブリッドコンクリートポンプ車に置き換えます。このハイブリッドコンクリートポンプ車は、コンクリート打設時の動力源を電気に切り替えて作業することができ、電動使用することで当社が掲げるゼロカーボン・コンストラクションの実現に貢献することが期待されます。
【実証概要】
工事名称 | 呑川合流改善貯留施設立坑設置工事 |
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企業体名 | 大成・佐々木建設工事共同企業体 |
実証場所 | 東京都大田区南雪谷 |
実証期間 | 2023年10月~2024年5月(2022年3月~2025年2月の立坑工事期間中) |
使用建機 | ドイツ・プツマイスター社製ハイブリッドコンクリートポンプ車 〈日本圧送株式会社(社長:矢部一男)が国内初導入〉 |
【実証内容】
- ハイブリッドコンクリートポンプ車による施工状況の確認
このポンプ車はコンクリート打設に電動モーターを用いており、軽油を使用したディーゼルエンジンに比べ、試算値としてCO2排出量を約29%※2削減できます。さらに、本実証では非化石証明書※3を購入することで、ポンプ車の稼働に伴う動力源のCO2排出量を実質ゼロにします。
なお、本ポンプ車の稼働時操作性は通常のコンクリートポンプ車とほぼ同等であることが確認されているほか、電動化によりエンジン音の発生が少ないため騒音が大幅に低減される効果もあります。 - その他建機で立坑掘削の電動化施工を実施
これまで現場内の資機材の揚重作業で使用するラフタークレーンに低炭素燃料を使用することで脱炭素化に取り組んできました。今回のハイブリッドポンプ車の導入に合わせ、電動油圧ショベル〈日立建機(株)製〉による土砂の積み込みを開始し、電動化施工の総合的な実証を併せて行っています。
今後当社は、ハイブリッドコンクリートポンプ車によるコンクリート打設時のCO2排出量の削減効果の検証を行うと共に、建設工事における施工時のCO2排出量を実質ゼロにするゼロカーボン・コンストラクションの実現に向けた取り組みを推進してまいります。

現地での稼働状況

現地での70tラフタークレーンへの給油状況

現地での稼働状況
- ※1
ゼロカーボン・コンストラクション
当社が構築したT-ZCB(ゼロカーボンビル)の推進方策(「ゼロカーボン・デザイン」、「ゼロカーボン・コンストラクション」、「ゼロカーボン・オペレーション」)のひとつ。施工段階におけるCO2排出量の実質ゼロを目指す取り組み。本技術実証における具体的な取り組み内容は以下のとおりです。
- ①燃料由来のCO2排出量削減
- 燃料使用建機の電動化:油圧ショベル、コンクリートポンプ等
- 省エネ型建機の採用:ダンプトラック、油圧ショベル等
- 燃料の脱炭素化:CO2フリー燃料、低炭素型代替燃料、Jクレジット
- ②電気由来のCO2排出量削減
- 省エネ型機器の採用:場内照明のLED化
- 仮設事務所の省エネ化:ZEB Ready化による消費電力削減
- 再生可能エネルギーの適用:自社保有発電所由来のトラッキング付き非化石証書などによる使用電力のCO2フリー化
- ※土木事業におけるCO2排出量を実質ゼロにする取り組みの技術実証を開始
- ①燃料由来のCO2排出量削減
- ※2
ハイブリッドコンクリートポンプ車 カタログ記載値
ポンプ稼働時CO2排出量ディーゼルエンジン 26.53kg-CO2/h 電動モーター 18.95kg-CO2/h - ※3
非化石証書
石油や石炭などの化石燃料を使っていない「非化石電源」で発電された電気が持つ「非化石価値」を取り出し、証書にして売買する制度。