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新さっぽろエネルギーセンターが「コージェネ大賞 2025」民生用部門 最高位「理事長賞」を受賞

2025年12月10日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)が設計・施工を担当した「新さっぽろ駅周辺地区I街区」で、街区全体のエネルギー供給と管理を担う「新さっぽろエネルギーセンター」が、一般財団法人コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(以下、コージェネ財団、理事長:柏木孝夫)より、「コージェネ大賞2025」民生用部門の最高位である「理事長賞」を受賞しました。本賞は、北海道ガス株式会社、株式会社日立製作所、富士電機株式会社、当社の4者による共同受賞となります。

 「コージェネ大賞」は、新規性・先導性・新規技術および省エネルギー性などにおいて優れたコージェネレーションシステム(以下、「コージェネ※1」)を表彰することにより、コージェネの社会的認知を図るとともに、より優れたコージェネの普及促進につなげることを目的に2012年度より開始した表彰制度です。民生用、産業用、技術開発の3部門で構成され、各部門で理事長賞、優秀賞、特別賞が選定されます。

 「新さっぽろエネルギーセンター」は2022年6月に運用を開始し、街区へ電力・冷温水・蒸気を安定供給しています。同センターは、コージェネ、排熱投入型蒸気焚吸収式冷凍機、小型貫流ボイラーなどで構成され、コージェネにはブラックアウトスタート(BOS)※2機能を搭載。災害時に稼働している場合、街区ピーク電力の約60%、熱需要の100%をまかなうことができ、街全体のレジリエンス向上に寄与しています。さらに、地中熱ヒートポンプや地域熱供給の高温水、蓄熱槽など、多様な熱源を組み合わせた柔軟なシステム構成も特長です。

 本プロジェクトで開発した「CEMS(地域エネルギーマネジメントシステム)※3」の最大の特長は、供給側と需要側の双方を制御対象とし、街全体のエネルギー需給を双方向で最適化できる点にあります。

 供給側では、AIによる需要予測を基に、コージェネや熱源機器の発停や台数を自動制御し、コストまたはCO2排出量の最小化を実現。オートチューニング機能により効率を常時監視し、送水温度や供給圧力を自動調整することで、人の熟練度に依存しない高効率な運用を可能としています。

 需要側では、快適性指標に基づき需要家側空調を自動制御し、快適性を維持しつつ室温緩和を行うことで省エネを促進。また、エネルギーセンター内の蓄熱槽や需要家側の貯湯槽の蓄放熱タイミングを最適化し、排熱の最大活用を図ります。これにより、ピークカット、機器効率向上、コージェネ出力抑制など多面的な効果が得られます。

 今後も当社は、CEMSをはじめとした本プロジェクトの技術・運用データを継続的に分析し、研究発表や施設見学会などを通じて知見を社会へ発信してまいります。さらに、システムの高度化と技術の体系化を進めるとともに、他都市を含めたさまざまな建物への展開を図り、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

  1. ※1

    コージェネ:発電装置を使って電気をつくるとともに、発電時に排出される熱を回収して、給湯や暖房などに利用する熱もつくる熱電併給システム。

  2. ※2

    ブラックアウトスタート(BOS):商用電源が停電した状態から、外部電源の電気を使用することなく、発電を開始する機能。

  3. ※3

    CEMS(地域エネルギーマネジメントシステム):Community Energy Management Systemの略称で、地域全体のエネルギーを効率的に管理するためのシステム。

2025年度「コージェネ大賞」選考結果
https://www.ace.or.jp/web/gp/gp_0010.html