トンネル工事の連続ベルトコンベヤシステムにベルトファスナーを導入
2025年11月28日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、タグチ工業株式会社(社長:田口幸作)の協力のもと、トンネル工事で使用する連続ベルトコンベヤシステムのベルト延伸作業に、金属接合方式であるベルトファスナーの導入を開始しました。
第一弾として、当社施工の令和2-6年度 津島道路新内海トンネル工事(発注:国土交通省四国地方整備局)の連続ベルトコンベヤシステムにベルトファスナーを適用し、順調に稼働しています。本技術により、ベルトの延伸時間短縮と平日接合作業の実施が可能となり、トンネル工事の生産性向上を実現することができます。
連続ベルトコンベヤシステムは、トンネル掘削に合わせてベルトを延伸し、切羽で発生した土砂をベルトに載せてトンネル坑外へ連続搬出する方式(写真1参照)で、ダンプトラックを利用せずに土砂搬出が可能なことから、切羽作業の省人化、坑内環境の改善、安全性の向上、CO2排出量の抑制など多くの利点があり、国が推進する「i-Construction2.0」の省人化を支える技術として近年注目されています。
一方、連続ベルトコンベヤを効率的に使用する際に必要となるベルト延伸作業では、一般的にはトンネル掘削距離約100~150mごと(約2~3カ月ごと)に、熱を加えてベルト同士を接合する「熱加硫接合」が採用されています。(写真2参照)この方式は高度な専門技術と厳密な品質管理が必要で、準備・ベルト加工・接合までの一連の作業完了まで6~7時間を要するため、トンネル掘削の合間に行えず、通常は休日(土日)に実施されます。また、稼働中にベルトの劣化やトラブルでベルトが破断した場合にも専門工事業者の手配と接合作業時間が長期化し、トンネル掘削が長期間中断するリスクがありました。
そこで当社は、これらの課題を解決するため、熱加硫接合の代わりに金属接合の一種であるベルトファスナーを採用し、実際のトンネル工事に適用しました。(写真3、4参照)
本技術の特長は以下のとおりです。
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ベルト接合の作業時間を約50%短縮し、平日運用に対応
ベルトファスナーは、熱を必要としない金属接合を採用しているため、従来方式に比べ、準備から接合までの作業時間が約50%短縮され、休日に行っていた接合作業を平日の掘削サイクルの合間に短時間で実施することが可能となります。 - 2
現場主導で迅速な復旧が可能に
ベルトファスナーは、熱加硫接合で必要な高度な加硫技術や厳密な品質管理が不要で、標準化された作業手順により現場人員でも接合に対応できます。ベルト破断などのトラブル時にも現場主導で迅速な復旧作業が可能なため、連続ベルトコンベヤの稼働停止時間を最小化し、トンネル掘削の中断リスクを軽減できます。 - 3
生産性向上とコスト削減を実現
連続ベルトコンベヤ導入による省人化、坑内環境改善、安全性向上、CO2排出量抑制という利点を維持したまま、本技術の導入で掘削作業の中断時間を短縮することで、トンネル工事の生産性向上、休日施工の削減や労務・機材待機コストの抑制が可能です。
今後当社は、タグチ工業株式会社と連携し、新内海トンネル工事でのベルトファスナーの運転状況を継続してモニタリングし、適用延長や長期耐久性の確認・評価および発生した課題への対処を進めます。また、得られた知見を基に、本方式の他工事への適用を拡大し、トンネル施工の省力化、生産性向上に引き続き取り組んでまいります。


ベルトファスナー施工動画( タグチ工業)