リリース

現場測位情報をリアルタイムに3次元表示するシステムを開発

-測量支援アプリと3Dモデリングソフトを連携し、建設現場の作業効率化・生産性向上を実現-

2025年10月3日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、「生産プロセスのDX」の一環として、建設現場で取得した測位情報をリアルタイムに処理し、3Dモデルとして表示できる新システムを開発しました。本システムは、GNSS(衛星測位システム)測量機を活用する測量支援アプリ「Field Checker※1」と3Dモデリングソフト「SketchUp※2」を連携させたもので、測位情報に基づく迅速かつ正確な施工管理を可能にし、建設現場の作業効率化と生産性向上を実現します。

 「Field Checker」は、建設現場の施工管理をデジタル技術で支援する当社の統合プラットフォーム「T-iDigital Field※3」に搭載された測量支援アプリで、従来は2人で行っていた建設現場での簡易測量作業を1人で実施することができ、リアルタイムで測位データの記録・共有を可能にします。2023年の開発・導入以降、当社およびグループ各社の建設現場で広く活用されています。しかし、従来の「Field Checker」で得られた測量結果は、2次元マップの表示にとどまり、3Dモデル作成には別途CADソフトなどを活用する必要がありました。また、測量チェック※4を行う際には、図面から読み取った座標値を手入力しなければならず、作業の手間や入力ミスの可能性があることから、操作性など使いやすさについて課題がありました。

 そこで当社は、これらの課題を解決するために、測量支援アプリ「Field Checker」と3Dモデリングソフト「SketchUp」を連携させることで、建設現場の測位情報をリアルタイムに処理し、3Dモデルとして表示できる新たなシステムを開発しました。

 本システムの機能および特長は以下のとおりです。(図1参照)

  1. 1

    建設現場の測位情報を3D空間でリアルタイムに表示・確認
    測量支援アプリ「Field Checker」で測位した座標データを3Dモデリングソフト「SketchUp」に取り込むことで、測位点の位置情報や設計モデルとのズレ(位置誤差)をリアルタイムに3D空間で表示・確認することができます。これにより、設計検討の効率化や意思決定の迅速化が図れます。

  2. 2

    3Dモデル上で測位情報を取得し作業員を現地誘導
    3Dモデル上で測位点の座標データを任意に指定しクラウド経由で「Field Checker」に取り込むことができます。また、新たに搭載した「測量チェック」機能により、座標データを手入力することなく、3Dモデル上で指定した測位点を現地で確認し、作業員を測位点に誘導することが可能です。

 今後当社は、複数の建設現場でテスト運用を行いながら、本格導入に向けて機能改善を進め、建設現場の更なる作業効率化と生産性向上を実現するため、今後ともデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に取り組んでまいります。

図1従来方式と本システムの操作状況の比較(測位座標の確認作業)
図1 従来方式と本システムの操作状況の比較(測位座標の確認作業)
  1. ※1

    Field Checker:
    建設現場での測量作業を効率化するアプリケーション。GNSS測量機やクラウド技術を活用し、一人で簡易測量作業を行えるようにし、測位データをリアルタイムで記録・共有する。これにより、作業時間の短縮と精度の向上を実現する。

  2. ※2

    SketchUp:
    直感的な操作で3Dモデリングができるソフトウェア。建築、インテリアデザイン、都市計画、エンジニアリングなど、さまざまな分野で利用される。ユーザーは簡単に3Dモデルを作成、編集、共有でき、豊富なプラグインや拡張機能を通じて、機能を拡張することも可能。

  3. ※3

    T-iDigital Field:
    CPS(Cyber-Physical Systems) の概念に基づき、施工中に得られる膨大な各種映像やセンサによるデジタルデータなどを仮想空間上に集積・統合して、デジタルツインを形成するなど高付加価値な情報として工事関係者間へフィードバックするとともに、蓄積したデータをAIや多変量分析などにより、最適な解決策を導き出すことで、現場管理の支援、生産性の向上を目的として技術開発を進めている統合プラットフォーム。この技術の適用により、工事関係者は現場管理の煩雑さから解放され、建設機械の遠隔操作や自動化が効果的に機能することで、さらなる施工効率や安全性の向上などの付加価値が創出され、これまでの建設業における『常識』の著しい変革につながることが期待される。

  4. ※4

    測量チェック:
    座標からの位置出し、芯出し、測点誘導、杭芯確認・入力作業などをさす。

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