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自治体向け防災まちづくり支援システム「if-Map」を開発

-地域の災害リスクと人口変動を考慮し、防災計画とインフラ整備・保全計画策定を支援-

2025年8月22日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、「サービス&ソリューションのDX」の一環として、地方自治体向けに地理情報システム(GIS)※1を活用した防災まちづくり支援システム「if-Map」を開発しました。このシステムは、地域の災害ハザードに関するデータと年齢別人口構造の将来推計人口データを組み合わせ、GIS技術を活用することで総合的な災害リスク評価を行うことができ、災害発生時の人口構造による人的被害リスクの変移を地図上に色分け表示し、可視化します。これにより、地域の人口構造変化を踏まえた中長期的な防災まちづくり計画の策定や優先順位を考慮したインフラ整備・保全計画の立案を支援することが可能となります。

 現在、日本では急速な人口減少と高齢化が進行しており、全国各地において将来を見据えた持続可能なまちづくりが喫緊の課題となっています。このような人口減少と高齢化を踏まえ、多くの自治体では、都市の持続可能性を確保するために、都市機能や生活サービス機能、居住地を特定エリアに集約する「コンパクトシティ※2」への取り組みが進められています。一方で、自然災害が年々、頻発化・激甚化する中、災害に対して脆弱なエリアへの人口集中は災害発生時の人的被害拡大につながる恐れがあるほか、今後の防災・減災対策では、災害弱者である高齢者の避難誘導などの視点も不可欠となっています。
 当社はこのような背景から、地震に伴う津波や液状化、建物被害、豪雨に伴う洪水や土砂災害の影響など、国や自治体が公開する災害ハザードに関する各種データと、地域の中長期的な人口構造の変化が推定できる将来推計人口データを統合し、GIS技術の活用により地域の災害リスクを総合的に評価することで、地震をはじめとした災害発生時における地域の人的被害リスクの変動を地図上で俯瞰することができる「if-Map」を開発しました。

 本システムの主な特長は以下のとおりです。

    1. 1

      未来志向で災害リスクを総合評価
      地域における年齢別人口構造の将来推計データを考慮し、災害ハザードに関する各データの重み付けによる総合的な評価を行うことで、災害発生時の人的被害リスクを地図上に色分け表示し可視化することができます。これにより、将来的に高齢者が集中するエリアの災害リスクを確認し、自治体が進めるコンパクトシティの立地適正化や人口誘導区域の検討・見直しなど、人口構造変化を踏まえた中長期的な防災まちづくり計画の策定などに活用できます。

    2. 2

      インフラ整備・更新の優先順位決定を支援
      道路や上下水道などのインフラ情報を集約し、それぞれの耐震性や耐久性などを総合的に評価することで、災害リスクが高いと想定されるエリアでのインフラ耐震化などの対策の有無や整備状況を地図上で確認できます。これにより、老朽化したインフラの計画的な更新や、新規の都市開発に伴うインフラ整備に際し、優先順位の決定に役立てられます。

 今後当社は、災害や防災に関連する情報やデータを集約し総合的なリスク評価を行い、自治体の防災まちづくりに関する様々な取り組みを支援するシステムとして「if-Map」の機能強化を推進し、平時の防災計画やインフラ保全計画の立案、災害発生時の迅速な対応に貢献できるよう、本システムのさらなる高度化に向けた技術開発を進めてまいります。

  1. ※1

    GIS:地理情報システム(Geographic Information System)

  2. ※2

    コンパクトシティ:人口減少や高齢化社会に対応した持続可能なまちづくりを目指すため、立地適正化計画制度に基づき、居住地や都市機能を特定のエリアに集約することで都市のコンパクト化を図る都市計画の考え方

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