建設現場のプラスチック仮設資材を環境配慮型に刷新
2025年7月29日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、サーキュラーエコノミーおよびカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環として、生分解性バイオマスプラスチックを用いた鉄筋・単管キャップ※1の製品化に成功し、2025年6月より建設現場への本格導入を開始しました。
本製品は、従来の石油由来のプラスチック製品と同等の耐久性や生産性を確保しつつ、使用後は土壌や海水中の微生物によりCO2と水に分解されます。また、製品の原料となる植物が成長過程でCO2を吸収することから、環境への負荷を軽減しつつ、建設現場から発生するプラスチックごみ問題の解決にもつながることが期待されます。
近年、CO2排出による地球温暖化や廃プラスチック処理に伴う環境負荷は、あらゆる産業で共通した喫緊課題です。当社では、建物や構造物のライフサイクルを通じた脱炭素化に取り組むとともに、建設現場で使用される石油由来プラスチック製品の使用量削減、再利用・再資源化にも積極的に取り組んでいます。中でも、使用済み三角コーンを回収・洗浄・粉砕・ペレット化し、その原料から製造した再生三角コーンを現場へ再供給するマテリアルリサイクルループ※2の構築により、建設現場での廃プラスチック発生量抑制とCO2排出量削減を両立させています。
今回、さらなる環境負荷低減を目指して、植物由来の生分解性バイオマスプラスチックを用いた鉄筋・単管キャップを製品化し、2025年6月より東京都内11か所の建設現場で本格導入を開始しました。
本製品の特長は以下のとおりです。
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既存プラスチック製品と同等の現場使用に耐える性能を確保
従来の生分解性バイオマスプラスチックは、紫外線や水分による影響を受けやすく、劣化しやすいという欠点がありましたが、本製品は劣化の影響を受けにくい耐候性に優れた材料((株)カネカ製「Green Planet®」、バイオマス度99%以上)を採用しています。また、肉厚の用途を選定することで、屋外での6か月にわたる暴露実験おいても、石油由来の既存プラスチック製品と同等の性能を確保しており、これまでと同様に現場利用が可能なことを確認しました。 - 2
使用感や作業性は従来品と同等で、オフホワイト原色により容易に識別可能
鉄筋や単管へはめ込む時の使用感や作業性は、既存プラスチック製品と同等で、違和感なく使用できることを建設現場での適用試験により実証しています(写真1参照)。また、本製品の色をオフホワイトにすることで、既存プラスチック製品と容易に区別でき、製品回収の際の混入を回避できます。 - 3
CO2収支の均衡が保たれ、環境負荷を低減
植物由来の素材を原料とした本製品は、使用後に土壌や水域に生息している微生物によりCO2と水に分解されます。分解により発生するCO2は植物が生育過程で吸収するCO2により相殺され、CO2収支の均衡が保たれます。また、生分解性であることから環境負荷を低減することができ、自然環境や生態系への影響が懸念されているプラスチックごみ問題の解消にも貢献します。
今後当社は、鉄筋・単管にとどまらず、他の仮設資材や建設用プラスチック製品についても、それぞれの用途に適した生分解性バイオマスプラスチックへの代替を進めてまいります。また、マテリアルリサイクルループ構築と生分解性バイオマスプラスチック利用の両面から、環境負荷の低減およびCO2排出量の削減に取り組むことで、サーキュラーエコノミーおよびカーボンニュートラルの実現を目指してまいります。(図1参照)。


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鉄筋・単管キャップ:
鉄筋や足場などに使う単管パイプ(以下、単管)の先端に取り付けて擦傷事故を防ぐための保護キャップ。擦傷事故等を防ぐために建設現場で多く用いられる仮設資材であるが、既存製品はプラスチック製であることから使用後の処分方法に課題を残している。 - ※2
マテリアルリサイクルループ:
建設現場で不用となった三角コーンの再資源化に関する実証試験―廃プラスチックの発生量抑制とCO2排出量の削減を推進
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240119_9867.html