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チャタテムシ制御空調システム「T-Pest Control System」を開発

-温湿度調節による防虫効果の大幅な向上を実現-

2025年6月13日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、アース環境サービス株式会社(社長:田渕徹)と共同で、医薬品製造施設内の防虫対策として、空調設備による温湿度調整によりチャタテムシの発生及び定着を抑制するチャタテムシ制御空調システム「T-Pest Control System」を開発しました。本システムの導入により、クリーンルーム周辺の空間における防虫効果を大幅に向上させ、高品質な生産環境の構築が可能となります。

 医薬品製造工場では、建物全体が医薬品製造に適した高品質な生産環境を構築するため、建設時にクリーンルームを含む清浄度などを担保する施工の実施や、竣工後の防虫管理基準の策定など徹底した運用・管理が行われていますが、外部で人や物に付着した虫の侵入を完全に防護することは容易ではありませんでした。特に、極小で定着しやすく、繁殖力の高いチャタテムシ(図1参照)の防除は、施設の竣工時点および竣工後の定期的な燻蒸や清掃により一定の効果はあるものの、燻蒸剤が室内に残留する可能性があり、また燻蒸剤の残留物が完全除去されるまでは空調を停止しなければならず、生産活動への影響が大きくなるといった課題がありました。
 そこで当社は、アース環境サービス(株)の研究により解明されたチャタテムシの生存が困難となる温度、湿度、生存期間(表1参照)などの環境条件に合わせて空調を制御する防虫対策技術「T-Pest Control System」を共同で開発しました。

 「T-Pest Control System」の特長は以下の通りです。

  1. 1

    防虫バリア区画の構築と温湿度調節により防虫効果を発揮
    クリーンルームなど生産エリア周辺の空間に外部からの虫の侵入を防ぐ防虫バリア区画(ペストコントロールエリア)を構築し、更に防虫バリア区画内の環境条件をチャタテムシの生存が困難な高温低湿度になるよう空調を制御することで、チャタテムシを防除します。(図2参照)

  2. 2

    生産環境に応じた防除用空調機の設置により施設の新築・改修に適用可能
    医薬品を製造する施設状況に応じて、防除用空調機を単独で新設する「単独システム」や、既存施設に設置されているクリーンルーム用空調機を利用する「クリーンルーム用空調機兼用システム」を用いて、防虫バリア区画に防除用空調機を設置することができ、施設の新築・改修を問わず適用可能です。(図3参照)

 今後当社とアース環境サービス(株)は、チャタテムシの混入が懸念される医薬品等生産施設への防虫対策技術として、本システムを積極的に提案してまいります。

図1 チャタテムシの成虫、表1 各温湿度条件下でのチャタテムシの防除処理日数
図2 防虫バリア区画(ペストコントロールエリア)の構築
図3 防除用空調機の設置事例(左:単独システム 右:クリーンルーム空調兼用システム)