蒜山(ひるぜん)自然再生協議会への支援活動により環境省「自然共生サイトに係る支援証明書(試行版)」を全国で初めて取得
2025年5月29日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、自然共生サイト「蒜山高原鳩ヶ原草原及び周辺湿原」における蒜山自然再生協議会(会長:日置佳之)への支援活動が評価され、環境省が発行する「自然共生サイト※1に係る支援証明書(試行版)」の全国初の認定案件のひとつに選ばれました。
近年、生物多様性の保全は、国際的な優先課題となっており、2022年の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が採択されました。その中で「ネイチャーポジティブ」※2が設定され、自然の損失を止め、回復に転じさせるという考え方が世界共通の目標として掲げられました。
日本国内でも、この目標の実現に向けた施策の一つとして、「30by30※3(2030年までに国土の30%を自然環境として保全すること)」の達成に向けた「自然共生サイト」の仕組みが整備・運用されています。
当社は、グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」に基づき、ネイチャーポジティブの実現に向けた活動を推進しており、今年3月には、当社グループが運営する「軽井沢高原ゴルフ倶楽部」が環境省から「自然共生サイト」に認定されたほか、自然環境の保全に取り組んでいる地域の団体や企業と連携協定を締結し、保全活動や支援に取り組んでいます。
今回、当社が支援した「蒜山高原鳩ヶ原草原及び周辺湿原」(岡山県真庭市)では、湿地のモニタリング技術等の提供や、山焼きに関する人材支援などを実施しました。こうした実践的な支援活動が評価され、環境省の「自然共生サイトに係る支援証明書(試行版)」を取得しました。この証明書は、全国で初めて認定された11件の1つとなりました。
当社は、蒜山自然再生協議会と2030年度までの7年にわたる連携協定を結び、草原や湿原に生息する希少な動植物の再生と保全を目的とした環境調査や、茅の利用を促進するため、茅場の保全を目的とした山焼きの支援などを今後も継続的に行っていきます。
また、蒜山での活動を通じて保全あるいは創出された草原・湿原について、生息・生育地サービス※4の価値を定量的に評価し、生物多様性のオフセット・クレジット化※5等を地域経済に組み込む新たな社会システムを構築することを目指しています。
今後も当社は、地域との連携を深めながら、自然環境の保全と再生を通じて、ネイチャーポジティブの実現と持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

- ※1
自然共生サイト:国が認定する民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域。
- ※2
ネイチャーポジティブ:2022年12月にカナダで開催された生物多様性条約締約国会議(COP15)で提示された概念で自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め反転させること。日本においても生物多様性分野において新たに目指すべき目標としてネイチャーポジティブを掲げ、その実現のためのロードマップとして2023年3月に「生物多様性国家戦略 2023-2030」が閣議決定された。
- ※3
30by30:2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに自国の陸域・海域の少なくとも30%を保全・保護することの達成を目指す目標。
- ※4
生息・生育地サービス:自然が与えている恩恵の一つで、様々な生態系を利用する移動性の生物に生息・生育環境を提供していることや、生物多様性のうち遺伝的多様性を維持していること。
- ※5
生物多様性のオフセット・クレジット化:
【オフセット】
人間の活動等で損なわれる環境の価値を評価し、それに見合う新たな環境を創出することで損失分を代償すること。生物多様性を保全するための手法の一つ。
【クレジット化】
生物多様性の保全活動による成果の価値を金銭的に評価し、販売や取引ができるようにすること。