在来植物による室内緑化技術「T-バイオフィリックグリーン」を開発
2025年5月9日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、自然な形態を再現したプランターに在来植物を植栽し室内でも四季の移り変わりを体感できる室内緑化技術「T-バイオフィリックグリーン」を開発しました。本技術では、外気に比べ温度変化の少ない室内での生育に適用可能な在来植物として約60種を選定し、当社技術センター(横浜市戸塚区)のエントランスホールでの約2年半にわたる生育実験によって、潅水量を従来の室内緑化より約80%削減しつつ、良好な生育状況を保てることを確認しています。
日本の自然が持つ魅力は、四季折々の花や樹木などの季節ごとの移り変わりを楽しめることです。そうした四季の移り変わりを室内でも体感できる空間を植栽により創出しようとする場合、緑化に用いる植物の選定には室内外での温度変化の違いを考慮する必要があります。各地域の在来植物の多くは、寒暖差の大きい外気温の変化を感知して葉を広げて開花するため、屋外に比べて温度変化が小さい室内では、充分な生育が難しいといわれてきました。そのため一般的な室内緑化では、温度変化の小さな環境で安定して生育できる熱帯性の観葉植物が用いられています。さらに植物を植えるプランターも四角や円形などの人工的な形状・材質が多く、自然感を損なうことから、通常の室内空間において屋外と同様の自然な景観を演出するのは困難でした。
そこで当社は、年間の温度変化の少ない沖縄など南方にも分布し、技術センター近傍にも自生する種類を中心に2年間の室内生育試験を経て、室内での生育に適用可能な約60種の在来植物を選定するとともに、植物を植えるステンレス製の大型プランターの露出部分を最小限に留めることで、屋外の自然な形態を再現し、室内でも四季の移り変わりを体感できる室内緑化技術「T-バイオフィリックグリーン」を開発しました。本技術を適用し技術センターエントランスホールで実施している生育実験(5㎡)により、2022年2月に植栽した61種200株の植物が2024年8月現在まで良好な伸長量と植被率を継続して維持しています。(図1参照)
本技術の特長は以下の通りです。
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在来植物とプランター外周部の土壌構成により、自然な形態の室内緑化を実現
2年間の室内生育試験を経て選定した約60種の在来植物は、温度変化の少ない室内環境でも健全に生育でき、生育する過程で四季の変化を生じ、かつ枯れにくいといった特性があります。(写真1参照)植栽エリアは、樹脂を混合した土壌でプランター外周部を覆い、固化してからエリア全体に土壌を敷き詰めて在来植物を植栽することで、プランター枠の露出度を約98%削減しました。(写真2参照)なお、技術センターエントランスホールの室内緑化は、四季の移り変わりを体感できる室内緑化としてグッドデザイン賞2023を受賞しています。 - 2
潅水量を約80%削減し、室内の湿度上昇を抑制することで環境負荷を軽減
室内緑化では過剰な給水により室内の湿度が上昇するリスクがありますが、本技術は植物の生育に必要な最低限の潅水頻度、潅水量および保水性の高い土壌配合の組み合わせを最適化することで、従来の室内緑化に比べて潅水量を約80%削減できます。
今後当社は、室内でも日本の四季を体感できる本技術をオフィスビルや商業施設に積極的に提案し、快適で安らぎのある空間の提供とウェルネスの向上に貢献してまいります。


