お知らせ

地域住民の健康と幸福を高める拠点となる次世代医療施設の設計手法を実証

-豊かな医療現場を創出するための共創活動を展開し、その効果を検証-

2025年2月25日
大成建設株式会社
早稲田大学創造理工学部
社会医療法人愛仁会千船病院

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)、早稲田大学創造理工学部(学部長:所千晴)、社会医療法人愛仁会千船病院(院長:吉井勝彦)は、医療従事者や患者、地域住民が健康と幸福を高める拠点となる環境を提供する、新たな次世代医療施設の設計手法について、医療現場での実証を開始しました。病院関係者と地域住民が集い、交流を深める場づくりや各種イベント活動による共創活動を展開し、その効果を検証します。

 近年、少子高齢化の進展により、地域社会では担い手の減少や地域内での繋がりが希薄化し、さらには多様なニーズに対して行政サービス水準の維持が困難など様々な課題が生じつつあります。そのような状況下で、医療福祉施設には通常医療や介護などの役割に加え、地域住民の健康や幸福を高める拠点となることが期待されており、病院関係者と地域住民が触れ合う場づくりやイベント活動が広がりを見せています。
 このような背景から、当社と早稲田大学(理工学術院創造理工学部建築学科古谷誠章教授)は、医療施設に係る高度専門化、社会との接点、少子高齢化、ウェルビーイング、医療従事者不足等の将来課題に対応できる新たな医療施設のあり方を15年にわたり共同で研究してきました。その成果は医療福祉施設の建築設計に反映され、医療福祉施設を中心としたまちづくりに活かされる※1など人々が健康で幸福な生活を実現する質の高い環境の提供に貢献してきました。

 一方、共に実証を開始することとなった千船病院(大阪市)は、病院関係者に加え地域住民の健康と幸福につながるまちづくりを目指し、病院前の広場を周辺住民に開放した地域交流イベント「福ハッピーフェスタ※2」や、西淀川区のウェルビーイング向上に寄与する街の要素を市民と探索する「イネーブリングシティ・ウォーク西淀川※3」等の病院発信による各種イベント活動を積極的に行っています。
 このような地域住民と医療福祉施設の接点を増やす取り組みを通じて、地域住民の健康維持の意識を高めることで、健康で幸福な生活を実現する環境の創出につながり、医療福祉施設が地域における活動拠点として有効であるということを改めて認識することができました。

 そこで三者はこの度連携を図り、イネーブリングシティ・ウォーク等の活動から抽出した地域課題をもとに、千船病院内および病院敷地内の各所において、課題を解決するための場づくりやワークショッププログラムを策定するなど病院関係者と地域住民がコミュニケーションを通じて健康と幸福を高められる共創活動を展開し、その効果を検証します。

 共創活動により実施する項目は以下のとおりです。

  1. 1

    健康で幸福な生活を高めるためのイベント発信拠点づくりを展開
    病院のパブリックエリアに新たなイベントやプログラムを発信する拠点(Happy& Healthy)を開設します。新規に開設した拠点では、病院関係者や地域住民が集い、多世代、多様な人々のコミュニケーションを深められる場として、地域の人々との交流活動やワークショップを開催します。同時に病院内にも職員向けのコミュニケーションラウンジを整備し、上記の屋外スペースと連動させることで、職員の交流活動などへの参加を促します。

  2. 2

    地域での健康で幸福な生活を高めるための新しいプログラムを実施
    病院内の発信拠点では、目的ごとに機能性のあるツールを集めた倉庫的な役割を担う一方で、壁面に様々なものを設置するディスプレイの製作を進めます。このような場を提供することでアクティビティを誘発して積極的な利用を促し、交流の場づくりのためのワークショップ開催、街路樹アート化や緑道ウォーニック(ウォーキング+ピクニック)の緑道整備を行い、健康と幸福な生活を高める新しいプログラムを実施します。 病院関係者や地域住民の健康と幸福の度合いと地域の環境改善効果などを明らかにし、次世代の医療施設のあり方について、地域との交流活動やワークショップ等を通じた共創活動の成果などを検証します。

 今後三者は、病院関係者と地域住民とのワークショップによる場づくりや健康プログラムをきっかけとしてコミュニケーションの向上を図り、次世代医療施設を目指した共創活動をさらに展開します。また、千船病院を実証モデルとした豊かな医療現場の創出により、医療現場に携わる様々な関係者から地域住民まで、すべての人々の健康と幸福を高める環境整備を加速させてまいります。

図1 Happy + Healthy 発信拠点のイメージ
図1 Happy + Healthy 発信拠点のイメージ
  1. ※1

    新さっぽろI街区メディカルエリア、アクティブリンク、新札幌整形外科 ダブルサンデッキ病室など

  2. ※2

    福ハッピーフェスタ:千船病院が中心となり、地域医療連携推進法人淀川ヘルスケアネット、周辺事業者、福駅周辺活性化協議会、市民団体等で共同開催する地域活性化イベント。病院の公開空地を一般開放し、キッチンカー、物販、ワークショップ、健康相談ブース、地域サークルの出し物等の交流の場を創出している。

  3. ※3

    イネーブリングシティ・ウォーク西淀川:大成建設、横浜市立大学等が中心となり開発したスマートフォンアプリを利用し、地域住民と共に地域のウェルビーイング(幸福と健康)に関連する街の魅力や課題を探索し、データ収集を行い可視化する活動。