国内初、石炭ガス化スラグ入り環境配慮コンクリートをシールド工事に採用
2025年1月20日
東京電力パワーグリッド株式会社
大成建設株式会社
東京電力パワーグリッド株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 社長執行役員 金子禎則、以下「東電PG」)は、大成建設株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 相川善郎、以下「大成建設」)が設計・施工を実施した洞道新設工事(千葉県印西市)において、インバート(歩床コンクリート)の一部に石炭ガス化スラグ細骨材を使用した環境配慮コンクリートを、国内で初めて採用しましたのでお知らせいたします。
これまでのコンクリート骨材は、自然界から採掘された天然骨材が主であり、採掘による自然環境への影響が懸念されております。今回使用した石炭ガス化スラグ細骨材は、福島県内で稼働する石炭ガス化複合発電(IGCC)※1から副産されるスラグを起源とし、JIS規格※2に適合するように粒度・粒形が調整されたものとなっています。この石炭ガス化スラグ骨材の利用推進は、天然骨材の枯渇抑止につながり自然環境保全という観点からも環境負荷低減に貢献するものです。
また、今回の採用は、大成建設が技術保有する環境配慮コンクリート(T-eConcrete®/セメント・ゼロ型※3)の“砂として”石炭ガス化スラグ細骨材を利用するもので、コンクリート構成材料における再生資源の利用割合※4とともに環境性をより高めたものです。さらに、石炭ガス化スラグ細骨材と環境配慮コンクリートとの組合せは、互いの材料物性における課題を補い合い、コンクリートとしての品質確保と性能向上※5にも寄与しています。
東電PGおよび大成建設は、本件の石炭ガス化スラグ細骨材×環境配慮コンクリートの有効活用をはじめ、持続可能な社会の実現を目指して、サーキュラーエコノミー(循環経済)の構築等による環境負荷の低減と、お客さまの安心で快適なくらしのために引き続き取り組んでまいります。
- ※1
従来の石炭火力発電より発電効率が高く、燃料使用量やCO2排出量の低減が見込まれる発電方式。福島イノベーション・コースト構想におけるプロジェクトで、勿来IGCC発電所、広野IGCC発電所が稼働している。IGCCは、Integrated coal Gasification Combined Cycleの略。
- ※2
JIS A 5011-5:2020(コンクリート用スラグ骨材-第5部 石炭ガス化スラグ骨材)。これを用いたコンクリートの使用方法の標準として、「石炭ガス化スラグ細骨材を用いたコンクリートの設計・施工指針(土木学会)」,「石炭ガス化スラグ細骨材を使用するコンクリートの調合設計・製造・施工指針(日本建築学会)」が刊行されている。
- ※3
環境配慮コンクリートT-eConcrete®/セメント・ゼロ型:セメントを使用せず、高炉スラグと特殊な反応剤を用いて固めるコンクリート。コンクリート材料製造時のCO2排出量を約80%削減しながら、従来と同様の製造・施工方法で同等以上の性能を有する。<図1>
- ※4
環境配慮コンクリートは、主に再生資源である高炉スラグが用いられている。砂代替として石炭ガス化スラグ細骨材を利用することにより、再生資源の利用割合はさらに高まる。<図2>
- ※5
通常コンクリートに石炭ガス化スラグ細骨材を用いた場合、配合にもよるが、材料特性により、材料分離(ブリーディング)の発生や、アルカリシリカ反応による耐久性の低下が懸念される場合がある。<表1-①> また、環境配慮コンクリートは、通常コンクリートに比べて粘性がやや高いため、流動性が若干低くなることが確認されている。<表1-②> それに対し、今回は石炭ガス化スラグ細骨材と環境配慮コンクリートを組み合わせて使用することで、相互の課題が改善されることを確認している。
本件に関するお問い合わせ先
東京電力パワーグリッド株式会社 秘書・リスクマネジメント室
- 03-6373-1111(代表)
大成建設株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 広報室
- 03-5381-5011(ダイヤルイン)