環境配慮型グラウト材「T-eCon®/アンカーグラウト」を開発
2025年1月10日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)とブイ・エス・エル・ジャパン株式会社(社長:山村徹)は共同で、VSLグラウンドアンカー工法に用いるグラウト材の環境負荷低減を図るため、当社が開発した環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」の技術※1を応用して、製造時のCO2排出量を大幅に削減できる環境に配慮したグラウト材「T-eCon/アンカーグラウト」を新たに開発しました。
グラウンドアンカー工法は、道路等の造成工事に伴うのり面・斜面の安定対策や地滑り対策工事をはじめ、地下開削工事での仮設土留め工事、構造物の浮き上がり防止対策など様々な用途に適用されています。同工法を用いた工事では、アンカー体を定着する際にセメントを主成分とする大量のグラウト材を注入する場合が多く、環境負荷低減の観点から製造時に発生するCO2の削減が可能な環境配慮型のグラウト材の活用が求められていました。
そこで当社とブイ・エス・エル・ジャパンは、グラウンドアンカー工法のグラウト材製造に使われるセメントに着目し(表1、図1参照)、当社が開発した「T-eConcrete」シリーズのうち、セメント・ゼロ型の技術を応用して、製造時のCO2排出量を大幅に削減できるグラウト材「T-eCon/アンカーグラウト」を開発しました。
本グラウト材の特長は以下のとおりです。(表1、写真1、2参照)
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製造時のCO2排出量を大幅に削減
グラウンドアンカー工法に用いる通常のグラウト材は、セメントと水からなる結合材に混和剤を混合して製造・施工を行いますが、本グラウト材はセメントを使わない「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」の結合材を活用しているため、従来のセメントを使用したグラウト材と比較して製造時のCO2排出量を約80%削減できます。 - 2
通常型に加え早強型を用意し多様な施工環境に対応
グラウンドアンカー工法では施工環境により早期にアンカーの緊張・定着が必要な場合があります。本グラウト材は、通常型の材料に加え、施工後3日までに緊張に必要な基準強度(圧縮強度24N/mm2)に達する早強型も用意しており、施工状況に合わせて使用可能です。早強型は製造時に少量のセメントを添加しますが、従来のグラウト材に比べCO2排出量を約75%削減できます。 - 3
従来のグラウト材と同等の施工性・性能を発揮
本グラウト材は従来のグラウト材と同じ方法で製造・施工が可能です。また、ポンプ圧送性などの施工性や硬化後の付着強度などの性能も従来のグラウト材と同等です。これまでに名古屋市上下水道局発注の春日井浄水場沈澱池整備事業において、仮設アンカー工事の一部に本グラウト材の早強型を約38m3適用しており、従来のグラウト材と同等の施工性および性能を保持していることを確認しています。
今後当社とブイ・エス・エル・ジャパンは、「T-eCon/アンカーグラウト」をVSL仮設アンカー工事に積極的に活用していくとともに、永久アンカーへの適用性を検証し、グラウンドアンカー工事全般への展開を図っていくことで、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
T-eCon/アンカーグラウト | 従来のセメントグラウト | |
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水粉体比 | 42~44% | 45~55% |
混和剤 | 2~3% | 2% |



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使えば使うほど二酸化炭素を削減!新たな未来をつくるカーボンリサイクル・コンクリートの秘密https://chizu.taisei.co.jp/tech/commentary/02.html