リリース

大成建設グループ次世代技術研究所にリサイクルせっこう100%使用のせっこうボードを国内初採用

-国内初のゼロカーボンビル実現に向け、調達段階でのCO2排出量を削減-

2024年12月23日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、国内初となる「ゼロカーボンビル」※1の実現を目指し、埼玉県幸手市に建設中の「大成建設グループ次世代技術研究所研究管理棟」※2(図1参照)に、吉野石膏株式会社(社長:須藤永作、以下、吉野石膏)の協力を得て、原料にリサイクルせっこうを100%使用したせっこうボード「タイガーR100」を国内で初めて採用します。本せっこうボードは、原料調達・製品製造時のCO2排出量が極めて少ないことから、建物のライフサイクル全体を通じたCO2収支の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンビル」の実現に、建設資材の調達段階において寄与することができます。

 当社はこれまで、脱炭素社会や循環型社会の実現に貢献するため、新築・改修建物のZEB化などの実績を重ねるとともに、「ゼロカーボンビル」の構築に向けた様々な取り組みを進めています。その一環として現在建設中の本研究管理棟では、建設資材の調達段階から木材・木質材料や再生ガラス・リサイクルアルミといった低炭素材料を選定・適用し、施工段階においては電動建設機械の活用や運搬車両への脱炭素燃料の使用などを行い、また運用段階でも先進的な省エネルギー・創エネルギー技術の導入を図るなど、「ゼロカーボンビル」の実現を目指し多面的な取り組みを推進しています。
 そうした一連の取り組みの中で当社は、原材料の再生利用によってCO2排出量の削減が期待できる建設資材の一つとして、せっこうボードに着目し、再生利用の可能性について検討してきました。建物の解体やリニューアル工事現場等から発生したせっこうボードを回収し再生利用できれば、一般的なせっこうボードに比べ、材料調達から製品製造までの過程で消費するエネルギーや排出されるCO2の大幅な削減が可能となります。
 今回、本研究管理棟に国内で初採用する、原料のせっこう全量にリサイクルせっこうを使用したせっこうボード「タイガーR100」は、上記の要件を満たす製品であるとともに、一般的なせっこうボードに比べCO2排出量を約80%削減可能と試算されており、「ゼロカーボンビル」の実現に有効であることが確認されています。

 今後当社は、吉野石膏と協力し、リサイクルせっこうを100%使用する「タイガーR100」シリーズの「強化せっこうボード」などを、当社施工の新築・改修現場に積極的に採用していくことで、将来的には建物のライフサイクルを通じた「せっこうリサイクルループ」(図2参照)の構築を目指していきます。また、せっこうボード以外の建設資材についても再生利用や再資源化した各種資材を建設プロジェクトに適用していくことで、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

図1 大成建設グループ次世代技術研究所イメージ
図1 大成建設グループ次世代技術研究所イメージ
図2 循環型低炭素せっこうボードの製造フロー・せっこうリサイクルループ
図2 循環型低炭素せっこうボードの製造フロー・せっこうリサイクルループ
  1. ※1

    ゼロカーボンビル:
    調達段階(建設資材製造・入手)、施工段階、運用段階(建物の運用および修繕・解体)まで含めた建物のライフサイクル全体で発生するCO2収支をゼロにする建物。

  2. ※2

    大成建設グループ次世代技術研究所研究管理棟:
    本研究管理棟では、当社が開発したゼロカーボンビルの評価指標である「T-ZCB」※3を活用して、建物のライフサイクル全体で発生するCO2収支をゼロにするゼロカーボンを目指している。当社は、調達・施工・運用の各段階において、木質および低炭素建設資材の適用、施工時の脱炭素燃料の採用や先進的な省エネルギー・創エネルギー技術の導入などCO2排出量の削減に向けた様々な取り組みを進めており、T-ZCBに基づく評価では、設計レベルで建物ライフサイクルにおけるカーボン・ネガティブの実現により、ゼロカーボン達成が見込まれる。

  3. ※3

    T-ZCB®:
    初期計画段階で建築物のライフサイクルCO2排出量及びCO2削減技術の効果を可視化し、建築物の脱炭素化を体系的に評価するシステムであり、LCA研究の権威である法政大学川久保教授にご指導いただきながら、共同開発した。