木質建築の定義と分類表を独自に策定しコンセプトモデルを構築
2024年12月3日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、これまで明確な定義がなく共通イメージの形成が困難であった「木質建築」について、木材の使用量や構造の特徴、環境保全への貢献度などを指標に、その定義と分類を独自に策定し、6タイプ7種類からなるプロダクトマトリクス(以下、分類表、表1参照)を構築しました。また併せて、この分類表に基づき、都市における木質建築の標準的な形態を分かりやすく示したコンセプトモデル(図1、表2参照)を新たに作成しました。木質建築に関する分類表とコンセプトモデルを明示することにより、これまでの木質建築に対する認識の相違や捉え方のばらつきが解消され、カーボンニュートラルの実現やウェルビーイングの向上に資する木質建築の普及促進に繋がることが期待できます。
地球温暖化の影響が深刻化の度合いを増す中で、人々の生活や経済活動に伴うCO2排出量の削減および脱炭素社会への移行が国際的に急務の課題となっています。建設業界においても建築物のライフサイクルを通して環境負荷の低減を図っていくことが、重要課題であると認識されています。これらの課題解決に向けた取り組みの一環として、CO2の貯蔵効果がある木材を建築物の仕上げ材だけでなく構造材としても積極的に活用する動きが活発化しています。木材は、温かみや質感によって心理的な安らぎなどが得られる効果から、ウェルビーイング向上の側面でも注目されており、オフィスや商業施設、教育機関などで導入事例が増加しています。
一方、建設業界では、鉄筋コンクリートや鉄骨を用いた建築物には統一して使用される明確な定義があるのに対し、木質建築についてはそうした明確な定義が定まっていませんでした。そのため、「木質材料を構造材や仕上げ材として使用した建築物」という表現だけでは捉え方や想起されるイメージにばらつきが生じ、コスト高のイメージが先行されやすく、顧客と設計者間の合意形成において支障となっていました。
そこで当社は、木質建築の定義を先駆的に策定し、木材の使用量、建物の構造、環境保全への貢献度など、おおよその目安を可視化して表記することで、一般建築を加えた6タイプ7種類からなる分類表を構築するとともに、分類表を基に都市型木質建築の標準的な形態としてコンセプトモデルを作成・提示しました。
【木質建築の分類表とコンセプトモデルの特長】
- 木質構造建築および木質仕上建築からなる木質建築の分類表を策定し適用することで、建築プロジェクトの初期段階から、木質建築の導入を検討している顧客と設計者間でのスムーズな合意形成が可能となり、意思決定が促進されることで顧客のコスト管理や事業収支に貢献することが期待されます。
- 木質建築を明確に定義した分類表に基づき、都市における木質建築の標準的な形態であるコンセプトモデルと、さらにこのモデルを基に実プロジェクトに適合させるためのコストに配慮したモデルを明示することで、顧客の意思決定をサポートします。これにより、木質建築によって創出される具体的な効果が見える化され、木質建築の導入検討が容易になります。



【期待される顧客メリット】
- 環境負荷の低減:木質建築の導入によって木材を使用する際のCO2貯蔵効果を最大化することで脱炭素プロジェクトとしての高評価を獲得。
- ウェルビーイングの向上:木質建築は利用者の快適性や健康を高め、企業や組織の持続的な成長を支援。
- 効率的なプロジェクト推進:木質建築の明確な分類とコンセプトモデルの明示により、プロジェクト初期段階から迅速な意思決定が可能。
今後当社は、今回構築した分類表とコンセプトモデルを活用し、カーボンニュートラルの達成と同時にウェルビーイングの向上を実現させる木質化へのソリューションを提供することで、顧客が所有する建築物に付加価値をもたらすとともに、将来にわたり持続可能な建築の実現に取り組んでまいります。