リリース

複数人が同時に体験可能なメタバース技能学習プログラムを導入

-建設現場での新規入職者の施工技術習熟度を深め、次世代の担い手教育を強化-

2024年6月25日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、建設現場における施工技術習得の研修・教育環境整備の一環として、ソニー株式会社(以下、ソニー)と「メタバース空間上でのコンクリート打設技能学習プログラム」を開発し、この度当社の基幹協力会社組織である倉友会の新規入職者に向けた職業訓練技能研修に導入しました。

 生産労働人口の減少が進む中で、労働集約型産業である建設業においては生産性の向上や人材の確保・育成への対応が大きな課題となっています。そのため建設現場では、機械化・自動化の導入による省力化・省人化や生産プロセスのDXに向けた取り組みなどと並行して、新たな人材の採用と育成、技能継承に力を入れています。作業所への新規入職者に対しては、即戦力となるよう施工技術に関する習熟度を深めてもらう必要がありますが、協力会社における人材の育成方法は従来、実際の現場でのOJT教育による指導を主体としており、新規入職者が実践的な経験を積むには相応の期間を要していました。
 そこで当社は、新規入場者に対する実践教育環境整備の第一弾として、メタバース(仮想共有)空間でのコンクリート打設技能学習プログラムを開発し、協力会社の新規入職者に向けた職業訓練技能研修に導入しました。

 本プログラムを活用することで、新規入職者は実際の現場に出る前にリアルな現場環境で手軽に施工体験ができ、反復学習を通じて自信を持って仕事に取り組むことができます。また協力会社のOJT教育担当者の労力も軽減され、現場における更なる生産性向上につながることが期待されます。
 本プログラムでは、コンクリート工事の「打設」、「叩き」、「均し」、「仕上」といった一連の作業をメタバース空間で研修生同士が連携して体験しながら、実践的な施工技術として学ぶことができます。さらに、本プログラムにはゲーミフィケーション※1の要素が取り入れられており、作業体験の習熟度が点数評価で確認できるほか、振り返り学習により研修効果を高めることができます。メタバース空間では複数人が同時に体験可能なため、研修生同士のコラボレーションやチームワークを促進し、楽しみながら効果的な学習が可能となるなど充実した教育環境を創出します。

 本システムの特長は以下のとおりです。(図1 参照)

【特徴】

  1. 1

    ソニーの技術力とメタバース空間の活用
    メタバース空間は、現実世界と仮想世界を融合させる新しいコミュニケーションの場です。ソニーがエンタテインメントコンテンツ制作の世界で培ってきた多くの知見やモーションキャプチャの技術を活かし、研修生の動作をメタバース空間上の建設現場において再現することにより、実際の作業環境に近い状況で技能を磨くことができます。

  2. 2

    メタバース空間でのリアルな研修体験
    複数の研修生がメタバース空間で同時にリアルな共同作業体験をすることができるため、現場作業や各種工具の扱い、機械操作のシミュレーションを行い、研修生同士が連携しながら技能を磨くことができます。研修生同士や講師とのコミュニケーションもリアルタイムに行えるため、より密度の濃い学習が可能です。

  3. 3

    ゲーミフィケーションによる効果的な技能修得
    ゲーミフィケーションの要素を取り入れることで、研修生同士のコラボレーションやチームワークの促進も図れ、技能研修がより楽しく効果的になることが期待されます。研修生のモチベーションの向上や学習効果の最大化を図りながら、建設業界の技能継承や次世代の担い手育成に貢献していきます。

  4. 4

    持続可能な社会の実現に貢献
    当社とソニーは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを重視しています。メタバース空間での技能研修は、リアルな環境での研修と異なり建設資材を必要としないため、環境にも配慮した取り組みとなります。近年、建設業界の人材不足は社会課題として浮上しており、本プログラムの活用を通じてより効率的かつ実践的な人材育成を進めることで、社会の持続的な発展に寄与していきます。

 今後当社では、建設業界で働くすべての人が、安心感と自信を持って働ける環境づくりを最優先の目標に掲げ、本プログラムの導入により、建設業界の技術向上と次世代の担い手となる人材の効果的な育成に取り組み、安全・安心な社会と持続可能な建設業界の実現に邁進してまいります。

図1  本プログラムの概念図
図1 本プログラムの概念図
  1. ※1

    ゲーミフィケーション
    ゲームを本来の目的としないコンテンツ等にゲーム要素を取り入れることで利用者の意欲向上を図ること