新たな環境リゾートを実現する「+ZEER/プラスジール」の概念を確立し、実証を開始
2024年6月20日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、長期環境目標「TAISEI Green Target 2050※1」の達成に向けた取り組みの一環として、エネルギーの循環、地域との共生、環境のサステナビリティの3つを柱とした新たな環境リゾート「+ZEER/プラスジール※2(+Zero Energy Environmental Resort)」の概念を確立し、国内リゾート施設での実証を開始しました。 本概念の運用により、豊かな自然環境に立地するリゾート施設において省エネ・創エネ利用によるゼロエネルギー化、地域コミュニティとの持続的な共生、環境資源の保全・利活用への取り組みなどに合わせ、総括的に支援するためのサービスを提供することができ、時代が求める新たな環境リゾートの創出が可能となります。
リゾートの開発は、その周辺の環境と密接な関係にあり、その開発が周辺環境やコミュニティに与える影響は極めて大きいことから、自然環境の保護や地域との共生に繋がる積極的な取り組みが求められてきました。しかし、持続可能で環境に配慮したとされる従来の「環境リゾート」は、その地域の自然環境や住民にできるだけ負荷をかけないよう、主に環境アセスメント等を重視した対応に留まってきたという評価などもあり、環境リゾートのあり方について見直しや一層の取り組み強化が必要になってきました。
そこで当社は、時代が求める新たな環境リゾートとして、この度、エネルギーの循環、地域との共生、環境のサステナビリティを3つの柱とする「+ZEER/プラスジール」の概念を確立し、国内の環境リゾートにおいて実証を開始しました。「+ZEER/プラスジール」は、環境リゾートの建設・運営において、上記の3つの柱に基づく様々な取り組みを相互に連携させ、永続的な仕組みである「メビウスリンク」として機能させることで、新たな環境リゾートの創出を後押しする有効なツールとして効果が期待されます。
主な取り組みは以下のとおりです。
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エネルギーの循環
環境リゾートの施設やエリアでは、各種省エネルギー設備の導入に加え、太陽光や風力等の自然エネルギーからグリーンエネルギーを創り、化石燃料の削減とともに将来のゼロエネルギー化を目指します。一例を挙げると、太陽光発電は当社と株式会社カネカ(社長:藤井一彦)が共同開発したガラス一体型太陽光発電システム「T-Green® Multi Solar※3」等の利用を計画します。また、風力発電でも、従来の羽根式ではなく、風向きに左右されず幅広く風速に対応でき騒音も抑制する垂直軸の風車を用いるなどの様々な新技術の利用を積極的に進めます。得られた電力は、施設の照明・空調やエリア内を移動する自動運転カートなどに活用します。 - 2
地域との共生
環境リゾートが立地する地域の課題を共有し、それを共に解決していく手段を探りながら、各種施設と地域コミュニティとの持続的な共生を図ります。また、地産地消をはじめ、地域資源(自然・人・文化)を積極的に活用します。取り組みの一例として、滞在者が地域の自然に触れ合えるようなイベントの開催や、住民参加型でペットボトルなどの海洋ゴミを回収し家具や建材などへの再利用を行います。 - 3
環境のサステナビリティ
海洋資源、森林資源、水資源の保持・活用・循環も視野に入れ、環境のサステナビリティを高めていきます。例えば、海洋生物やサンゴ礁の保護、地域の森や群島などの森林資源の保全、水資源の浄化・利活用などに取り組みます。
今後当社は、「+ZEER/プラスジール」を、海、山をはじめ様々なリゾートに水平展開が可能な汎用モデルとして運用し、リゾートにおける地域と環境・自然との新たな共生のあり方に沿った総括的なサービスを提供するとともに、提案型コンサルティング事業として展開してまいります。将来的には「+ZEER/プラスジール」に基づく環境リゾートの総合評価システムを確立することを目指します。
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TAISEI Green Target 2050
大成建設グループは、持続可能な環境配慮型社会の実現に向け、長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」に「脱炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」の3つの社会の実現・深化と、2つの個別課題「森林資源・森林環境」、「水資源・水環境」を定め、その達成と解決に向けて様々な取組を進めている。 - ※2
+ZEER/プラスジール(+Zero Energy Environmental Resort)
プラスジールとして、商標登録出願済。 - ※3
T-Green® Multi Solar
建物の外装(壁面や窓面)を有効活用し、太陽光発電を効率的に行う事を可能としたガラスパネル。太陽電池を合わせガラスで挟み込むことで、外装そのものが発電システムとなり、様々な規模の建物に導入できる製品。株式会社カネカとの共同開発製品。