中外製薬株式会社バイオ原薬製造棟(UK4)が国際製薬技術協会による「2024 Facility of the Year Awards」を受賞
2024年6月12日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)が設計・施工を担当した中外製薬株式会社バイオ原薬製造棟(以下、UK4)が、国際製薬技術協会(ISPE:International Society for Pharmaceutical Engineering)が実施するアワードのSocial Impact部門で「2024 Facility of the Year Awards(年間優秀施設賞)」※1を受賞しました。
UK4は、中外製薬株式会社浮間事業所に建設されたバイオ原薬製造棟で、臨床開発において人への投与を初めて行うFirst in Human試験(FIH試験)用のバイオ原薬製造に特化した設備となっており、2023年9月に竣工しました。
UK4は環境へ配慮し、「持続可能な社会に向けた3ゼロ」をコンセプトに「フロンゼロ」、「(都市)ガスゼロ」、「CO2ゼロ」を実現できるよう設計しました。具体的には、自然冷媒機器の採用による脱フロン設計、設備のオール電化によるガスゼロ実現などの取り組みが高く評価され、受賞にいたりました。
各項目の概要は以下の通りです。
「フロンゼロ」 | 建物内のすべての冷熱源・温熱源・冷蔵設備において、フロン冷媒をまったく使用せず、自然冷媒であるアンモニアとCO2を採用しています。 |
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「都市ガスゼロ」 | 空調温熱源ヒートポンプ化、生産設備のシングルユース技術の最大活用、膜法による製薬用水設備の採用により、蒸気の使用量を最小限に抑えることで、電気ボイラーによる蒸気供給を可能としました。これにより、UK4内でのガス燃焼が不要となり、建屋内のCO2排出ゼロを実現しました。 |
「CO2ゼロ」 | UK4内で使用される電力は、すべてサステナブル電力を使用しています。当社独自技術であるT-Green®Multi Solar※2を採用することで一般エリアの消費エネルギーは太陽光(電力、熱源)による再生可能エネルギーで賄っており、自然エネルギーを最大限活用するようデザインした環境ファサードとなっています。また、UK4では、導入した省エネ・環境設備稼働状況、および運転データを当社独自のビルエネルギーマネジメントシステムT-Green BEMS®※3に収集し、リアルタイムのエネルギー消費量や水バランス※4を可視化する取り組みを行っています。 |
今回、持続可能な社会に向けた建築設備・生産設備一体の複合的な取り組みが評価され、受賞に至ったものと考えています。
今後当社は、環境に配慮した設計により建物の環境価値向上と省資源・循環型社会の推進に貢献してまいります。



環境ファサードデザイン

- ※1
ISPE(International Society for Pharmaceutical Engineering)は1980年に米国で設立され、世界90カ国からヘルスケア製品の製造に関する専門技術者、規制当局、大学・研究機関・学生等が参加する非営利団体です。FOYA (Facility of the Year Awards)は同団体が毎年実施している年間優秀施設へのアワードであり、“Innovation” “Operations” “Supply Chain” “Pharma 4.0” “Social Impact”の5部門において、製薬およびバイオの製造業界におけるイノベーションや創造性に対して表彰が行われます。
詳細はhttps://ispe.org/facility-year-awardsをご覧ください。 - ※2
意匠性の高いガラス一体型発電システム T-Green®Multi Solar
ビルの外装(壁面や窓面)を有効活用し、太陽光発電を行う意匠性の高いガラス一体型発電システムです。詳細はhttps://www.taisei-techsolu.jp/solution/ct_savingenergy/t-green_multi_solar.htmlをご覧下さい。 - ※3
大成建設のビル・エネルギー・マネジメント・システム T-Green BEMS®
UK4では、エネルギー収支の可視化のみを目的としたT-Green BEMS® Liteを導入しています。
T-Green BEMS®の詳細はhttps://www.taisei-techsolu.jp/tech_center/topics/zeb/06.htmlをご覧下さい。 - ※4
水バランス
対象施設における水の利用量と資源循環量(再利用)のバランスのこと