リリース

組立部品を自動保管・搬送する「T-ロボットストレージ生産システム」を新たに商品化

-生産エリアの空間利用効率を高め、更なる生産効率向上を実現-

2024年5月8日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、トーヨーカネツ株式会社(社長:大和田能史)と共同で、加工組立系の製造工場向けに、ロボットを用いて各生産工程への部品の供給や仕掛品の保管を効率化することができる「T-ロボットストレージ※1生産システム」を新たに商品化しました。生産エリアの上部空間にロボット走行路と一時保管場所を配置することで空間利用効率が向上し、原料や仕掛品の入出庫作業と搬送・供給が自動かつタイムリーに行えるため生産効率の向上が可能となります。

 昨今、少子高齢化の進展に伴う生産労働人口の減少が社会問題となっている中、製造業においても製造現場である生産工場の自動化・省人化による生産効率の向上が最優先課題となっています。現在、多くの生産施設では各生産工程で使用する部品を必要な時に必要な量だけ供給することで無駄な在庫を抱えない、ジャストインタイム方式が採用されています。このような生産施設では、各工程に必要な原材料の供給や各工程で作られた仕掛品の一時保管と次工程への搬送がタイムリーに行われる必要があります。しかし、工程が多岐にわたる生産ラインでは、各工程で生じる時間差などから仕掛品が滞留する場合には、生産ライン近くのフロア上や別の倉庫エリアで一時的に保管する必要が生じていました。このため従来方法では、運搬・収納に伴う新たな作業負荷の発生や在庫管理の煩雑さなどにより、空間の有効利用や生産効率改善の妨げとなっていました。
 一方、流通業界に目を転じると、多品種少量荷物の保管・出荷特性に適したオートストアシステム社(ノルウェー)のAutoStore™が広く知られています。このシステムは、立体的に組み上げた格子状のグリッド内にコンテナを格納し、ピッキング機能を備えたロボットがグリッド上部の走行路を移動してコンテナの入出庫を行う空間利用効率の高い自動倉庫システムで、国内外を問わず新築・改修の流通施設に多数導入されています。

 そこで当社は、トーヨーカネツと共同で、生産施設の生産ラインにこのAutoStore™を適用することで、生産エリア上部空間の有効利用により空間利用効率の向上を実現するとともに、ロボットを用いて原料や仕掛品の保管・搬送を自動化・省人化し生産効率の向上を図ることができる「T-ロボットストレージ生産システム」を商品化しました。

 本システムの概要および特徴は以下のとおりです。

【概要】

 本システムはメイン倉庫内の各コンテナに収納・保管された原料や仕掛品を、生産エリア上部に敷設した走行路をロボットが移動しながら搬送し、タイムリーに保管・供給するシステムです。システムの構成とコンテナの搬送手段は次のとおりです。(図1参照)

  1. a

    原料や仕掛品などを一括保管する「①メイン倉庫」を生産エリア近傍に配置します。

  2. b

    前後左右に連結されたロボット専用の「②走行路」を生産エリア上部に設置します。

  3. c

    生産工程毎の「③サブ倉庫」をロボット走行路上の必要な箇所に設置します。

  4. d

    コンテナを昇降させる「④昇降部」を生産エリア各所に配置します。

  5. e

    「⑤ロボット」が走行路を前後左右に移動し、コンテナを生産エリア各所に搬送します。

図1 AutoStoreTMを用いた生産システム
図1 AutoStore™を用いた生産システム

【特徴】

  1. 1

    生産エリア上部空間の有効利用により空間利用効率が向上
    ロボット走行路とサブ倉庫を生産エリア上部に配置することで、生産エリア内のフロアに部品の保管・搬送空間を設ける必要がなく、床面積の削減やメイン倉庫の保管規模の縮小が可能となり空間利用効率が向上するほか、入出庫作業の負荷低減も図れます。

  2. 2

    自動化・省人化により生産効率の向上を実現
    ロボットが自動で原料や仕掛品の入出庫作業と搬送を行うことで省人化を実現できます。また、各工程に合わせてサブ倉庫が生産エリア直上に配置されるレイアウトとなっているため、原料や仕掛品の各工程への供給がタイムリーに行われ、更なる生産効率の向上が期待できます。

  3. 3

    生産工程に合わせた柔軟なレイアウトが可能
    全ての工程に関わる原料や仕掛品の格納が、メイン倉庫、サブ倉庫のどちらでも可能なため、工程毎の部品生産量に応じて最適な格納場所を設定できます。昇降場所や走行路の変更・延長、サブ倉庫の増設などを容易に行えることから、工程のレイアウト変更や将来的な工場の拡張などにも柔軟に対応できます。

 今後、当社はトーヨーカネツと共同で加工組立系の製造施設を中心に、生産効率の向上を目的とした工場の自動化・省人化やスペース効率の改善といった課題を抱える顧客に本システムを積極的に提案してまいります。また、近年の製造業の国内回帰や海外企業による直接投資の動きにも注目し、新たな顧客獲得に取り組むとともに、顧客のニーズに合わせたカスタマイズやアフターサポート体制の充実など、より一層の顧客満足度向上に努めてまいります。

  1. ※1

    ロボットストレージ:
    樹脂製コンテナを保管棚内に床から棚上部近くまで高密度に積み上げ、保管棚上の走行路を、ピッキング機能を搭載したロボットが移動しながら、指定されたコンテナを保管棚と入出庫口間で取り出したり格納したりする保管システムのこと。このシステムの適用により、保管スペースを効果的に圧縮できるだけでなく、ロボットがコンテナに格納された商品を入出庫口まで自動で運ぶため、作業者は入庫や出庫のために倉庫内を歩行する必要がなくなり、入出庫作業能力が大幅に向上する。