リリース

セメントを使用しない地盤改良材を実用化

-木造人道橋の支持地盤に初適用-

2024年4月18日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、地盤改良工事に用いる固化材に環境配慮コンクリート「T-eConcrete®/セメント・ゼロ型※1」(図1参照)の技術を応用することで、セメント使用量をゼロとし、CO2排出量を大幅に削減できる「T-eCon®/地盤改良材」を実用化しました。また、当社技術センター(横浜市戸塚区)で2023年度に建設した木造人道橋の支持地盤に本地盤改良材を初適用しました。(写真1参照)

 建築物や擁壁などの構造物を支持する地盤が軟弱な場合には、地盤にセメント系固化材※2を混合し、地盤を固化させて支持性能を向上させる地盤改良工法を適用することが多数あります。しかし、これらの固化材は多量のセメントを含んでおり、製造時に大量のCO2が排出されることから、セメント含有量を低減した固化材の実用化が求められてきました。
 そこで当社は、自社開発の「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」の結合材※3を地盤改良材として応用することで、セメント使用量をゼロとし、CO2排出量を大幅に削減できる「T-eCon/地盤改良材」を開発しました。また、室内試験および木造人道橋の施工による実証を行い、セメント系固化材と同等の性能を有することを確認しました。

「T-eCon/地盤改良材」を用いた地盤改良工法の特徴は以下の通りです。

  1. 1

    材料製造時のCO2排出量を大幅削減
    「T-eCon/地盤改良材」は、セメントの代わりにCO2排出量の少ない高炉スラグが配合されており、セメント系固化材に比べてCO2排出量を最大で75%程度削減することができます。(図2参照)

  2. 2

    セメント系固化材と同等の固化性能を保持
    木造人道橋の施工場所で採取した土を使用した事前の室内試験において、「T-eCon/地盤改良材」を用いた改良体がセメント系固化材と同等の強度を有することを確認しました。(図3参照)また、現場施工後の調査において改良した地盤が十分な強度を持ち、強度のばらつきが従来のセメント系固化材と同等であることが明らかとなりました。

 今後当社は、脱炭素社会の実現に向け、セメントを使用しない「T-eCon/地盤改良材」を積極的に提案し、建設現場での適用を推進してまいります。

  1. ※1

    T-eConcrete/セメント・ゼロ型:
    当社独自開発の「T-eConcrete」シリーズの一種。セメントを使用せず高炉スラグ微粉末などの構成材料を配合した環境配慮コンクリートで、CO2排出量を従来のコンクリートに比べて最大80%削減できる。
    (詳細技術概要:https://www.taisei.co.jp/portal/tech/commentary/02.html

  2. ※2

    セメント系固化材:
    土を固めることを目的とした、セメントが主成分である固化材。

  3. ※3

    結合材:
    水と反応し、コンクリートの強度発現に寄与する材料。