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内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に採択

-第3期課題「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」で技術実証-

2024年1月23日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(通称、SIP)※1」の第3期課題のうち「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」に係る研究開発テーマ「エネルギーとモビリティのセクターカップリング」において、早稲田大学林泰弘教授を研究開発責任者とする共同研究グループ※2として採択されました。

 本研究開発テーマでは、将来、電気自動車(以下、EV)が十分に普及することを想定し、電力(エネルギー)とEV(モビリティ)とを互いに補い合うよう組み合わせてエネルギー利用を最適化することで、社会的便益を最大化させることを目指します。

 具体的には、以下の3つの視点から共同研究グループ各者で作業分担し、各テーマの協調による実証研究を推進することで得られた成果から、カーボンニュートラルを実現する社会インフラの再構築に向けた制度・政策の提言等を行います。(図1参照)

  1. 1<都市視点>電力・交通セクターを対象として、宇都宮市におけるスマートメータや公共交通運行等の大規模面的データを格納する基盤を構築・活用し、自治体や事業者と連携したPV余剰EV充電の地域エネルギーマネジメントシステムの技術開発と社会実証(早稲田大学、宇都宮大学)
  2. 2<建物視点>電力・交通セクターを対象として、遠隔制御やワイヤレス充放電を含めたEVと建物間での連携によるEV協調型BEMSの技術開発・実証(大成建設)
  3. 3<社会経済視点>社会経済システムを対象として、市場価値や社会価値の創出・評価を目的とするフィールド実証データ分析に基づく社会科学の知見を踏まえた事業性検証(東京工業大学、電力中央研究所)
図1 「エネルギーとモビリティのセクターカップリング」の研究開発構想
図1 「エネルギーとモビリティのセクターカップリング」の研究開発構想

 当社は、2.<建物視点>EV対応協調型BEMS(Building Energy Management System)に係る技術実証を担い、これまでZEBやカーボンニュートラルの推進により培ってきたエネルギーマネジメントの知見やワイヤレス給電に関する開発技術を活用した実証を行います。具体的な実施内容は以下の通りです。(写真1、図2、図3参照)

  • EV対応協調型BEMS
    EVを蓄電池として利用可能な制御機能を開発し、エネルギーシミュレーションや予測制御と連携して最適なエネルギーマネジメントを実現します。
  • V2B充放電システムの高出力・ワイヤレス化
    V2B(Vehicle to Building)充放電システムの高出力化およびワイヤレス化に関する開発を行い、電力の需給バランス調整に対する能力や利便性を向上させます。
  • フィールド実証
    当社技術センター(横浜市戸塚区)において、実車両・実建物によるフィールド実証に取り組み、社会実装に向けた課題を洗い出します。

 今後当社は、本実証を通じてエネルギーマネジメントに関する各種要素技術開発に加え、スマートエネルギーマネジメントシステム技術の社会実装を推進し、カーボンニュートラル社会とエネルギー利用の利便性・効率向上の実現に貢献してまいります。

写真1 EV外観
写真1 EV外観
図2 電力の需給バランス調整
図2 電力の需給バランス調整
図3 開発工程
図3 開発工程
  1. ※1

    戦略的イノベーション創造プログラム(通称、SIP):
    内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクト。国民にとって真に必要な社会的課題や日本経済再生に寄与できるような世界を先導する課題に取り組んでいる。令和5年度からの5年間を第3期として14課題を推進している。
    https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/index.html

  2. ※2

    共同研究グループ:早稲田大学、宇都宮大学、大成建設、東京工業大学、電力中央研究所