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業界初 建材調達・施工段階でのCO2排出量予測システム「T-CARBON® Navios」を開発

建築物建設時のCO2排出量を短時間で正確に把握可能

2023年10月2日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、建築物に使用する建材の製造・調達段階および施工段階で発生するCO2排出量を予測するシステム「T-CARBON Navios」を建設業界で初めて開発しました。本システムは、積算データを基に建材の種類や数量ごとのCO2排出量を自動算出する機能を備えており、開発済みの施工時CO2排出量予測システムと連動させることにより、建設時(建材製造・調達段階および施工段階)のCO2排出量(アップフロントカーボン※1)を短時間で正確に把握することができます。また、削減策毎のCO2排出量を算出できるため、より効果的な対策の検討が可能となります。

 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、建築物のライフサイクル全体を通じたCO2排出量の削減が求められており、建築物の運用時だけでなく、建設時でも建材の製造・調達や施工に伴うCO2排出量を予測した上で効果的な削減策を検討することが、施工者はもとより、建築物を所有・運用するお客様にとっても重要な取り組みとなっています。当社では、2010年に工事計画に基づき施工段階のCO2排出量を予測するシステムを業界に先駆けて開発し、これまでお客様に情報提供を行い、お客様がCO2排出量の削減に向けた取り組みを進めるための支援システムとして貢献してきました。一方で、建築物に使用する建材の製造・調達段階でのCO2排出量は、建材の種類が多岐にわたる上に、建築物毎の使用数量を基に算出する必要があるため、工事規模が大きい場合にはCO2排出量の算出に数カ月かかることもあり、多大な時間と労力を要していました。
 そこで当社は、従来の施工段階でのCO2排出量予測システムの機能を拡張するとともに、新たに建材の製造・調達段階でのCO2排出量を短時間で正確に把握できる機能を追加した業界初の新システム「T-CARBON Navios」を開発しました。(図1参照)

 「T-CARBON Navios」の特徴は以下のとおりです。

調達段階(今回追加した新機能:建材CO2システム)

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    使用建材ごとのCO2排出量を正確に把握し、算出時間を大幅に短縮
    積算データに登録されている多様な建材ごとにCO2排出量を自動算出することができるため、使用する建材の種類を選定し数量を入力することで建材の製造・調達段階のCO2排出量を正確に把握できます。また、建材のCO2排出量算出にはこれまで数カ月程度を要する場合もありましたが、自動算出により、数分程度で算定可能となるため、算出時間を大幅に短縮できます。

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    より効果的なCO2排出量削減策を検討可能
    本システムは、建物毎の工事計画に応じて使用する建材の種類や数量毎にCO2排出量を算出するため、一般的な工事で想定される建材使用量や見積金額に基づく算出方法に比べ精度よくCO2排出量を把握できます。このため、建材変更によるCO2排出量削減効果の検証や木材利用などによるCO2固定量の試算においても、より具体的かつ効果的なCO2排出量削減策を検討できます。

施工段階(既存システム:Carbon Naviosの拡張機能)

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    施工時のCO2排出量削減計画の検討にも活用可能
    既存システムに基礎や躯体工事などの種類や工事数量から工種別・機械別に燃料、電力使用量、CO2排出量を算出し、CO2排出量削減策の検討メニューを追加できるよう機能拡張しました。これにより計画時のみならず実際の施工時のCO2排出量削減計画の検討にも活用することができます。

  今後当社は、「T-CARBON Navios」の実案件への導入を順次開始し、調達段階・施工段階のCO2排出量削減を推進することで、建築物のライフサイクルにおけるカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります

図1 T-CARBON Naviosシステム概念図
  1. ※1

    アップフロントカーボン:建築物建設時の建材製造・調達および施工段階に発生するCO2排出量を示す。