リリース

いつどこにでも設置可能な移動式空間「モバイルインフィル®」の開発に着手

オープンスペースや道路空間の有効活用を促進し、ウォーカブルシティの実現に貢献

2023年9月11日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、まちなかに人々が集い、休憩や様々な活動が行える移動式の滞在型空間「モバイルインフィル」の開発に着手しました。モバイルインフィルは、都市部のオープンスペースや道路空間を有効活用して、利用者のニーズに即応する「居場所」をいつどこにでも任意に設けることが可能です。このため、居心地の良い歩きたくなる空間を追求した新たな街づくりのモデルであるウォーカブルシティ実現への貢献が期待されます。

 近年、都市部の沿道や路上などの道路空間を車中心から人中心の空間に再構築する試みが世界の大都市を中心に進んでいます。我が国においても、まちなか再生の取り組みの一環として、居心地が良く歩きたくなるまちづくりに向けて、都市や道路の利活用についての法律の改正※1や国土交通省による支援WEBサイト※2での活動の推進などの後押しにより、まちなかに人々の居場所を作るための新たな動きが各地で始まっています。しかし、都市部に人々が滞在できる建物空間等を設置するには各種法令への準拠が必要となるなどの制約があり、任意の場所等で多種多様な利用者のニーズに即時対応することは困難でした。
 そこで当社は、いつどこにでも人々の「居場所」を提供することが可能な移動式の滞在型空間「モバイルインフィル」の開発に着手しました。モバイルインフィルは通常の建物と同じように、場所、利用者、使い方に合致した機能・性能を備えてデザインされ、訪れる人が快適にいきいきと暮らし、その街ならではの魅力を楽しめる居場所になります。(図1参照)また、複数のモバイルインフィルを組み合わせて、まとまった空間を創出することで、都市部に集う人々の多様な活動や非常時の防災活動の拠点としても活用でき、ウォーカブルシティのみならずレジリエントな社会の実現にも貢献します。

図1 オープンスペースへの適用イメージ(木材活用技術T-WOODを用いたデザイン例)

「モバイルインフィル」の特徴は以下のとおりです。(図2参照)

  1. 1

    任意の場所に空間ごと移動可能
    車両などを使用して、暮らしと密接にかかわるインフィル(内装や間仕切りなど)を設置場所に空間ごと移動させることができます。また、けん引等により、必要な時に、必要な場所へ移動させ、即時に利用することができます。

  2. 2

    利用者や環境・社会のニーズに迅速・柔軟に対応可能
    多種多様な利用者のニーズに応える空間を通常の建物よりも素早く提供することが可能なため、環境や社会の変化に迅速かつ柔軟に対応することができます。

  3. 3

    様々な目的、大きさ、機能を有する空間を提供可能
    モバイルインフィルに屋根や家具を組み合わせたり、モバイルインフィルを複数組み合わせたりすることで、ニーズや用途に応じて空間を自在に拡げることができるため、人々に快適な暮らしをもたらすプラットフォームとして、これらの空間やそこでのサービスを日常はもちろん非日常でも誰もがフェーズフリーに利用することができます。

 今後当社は、ウォーカブルシティの実現に向けたアプローチとして、今年度中には公園や道路空間、都心部の環境改善や防災に有効利用が可能な空地で本技術の有効性などについて実証を行う予定です。また、実証の成果を踏まえ、建物の内外、オープンスペース、さらには都市空間にモバイルインフィルの特徴を活かした提案を積極的に展開してまいります。

図2 モバイルインフィルの特徴
  1. ※1

    都市再生特別措置法等の一部を改正する法律(令和2年法律第43号),令和2年9月7日施行 道路法等の一部を改正する法律(令和2年法律第31号),令和2年11月25日施行

  2. ※2

    国土交通省・ウォーカブルポータルサイト「We Do! めざせ!ウォーカブルなまちづくり」,https://www.mlit.go.jp/toshi/walkable/,2023年7月13日参照