BIMに基づく建物情報検索システム「R2-BIM」を開発
2023年7月11日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、「生産プロセスのDX」の一環として、株式会社ホロラボ(社長:中村薫)の協力のもと、専用アプリなどを使用せずに必要な各種情報のキーワードを文字入力するだけで建物の維持管理履歴に関する情報をweb上で容易に検索できるシステム「Reinforcement of Relationship-BIM」(以下、R2-BIM)を開発しました。
建物の維持管理においては、設備機器のメンテナンス時期や過去の改修工事で用いた仕上げ材など建物の運用履歴ほか各種情報を把握する必要があります。しかし、設備機器などの情報は竣工図面に記録されていることが多く、改修時期が異なる場合の工事記録は保存時期も異なるため、維持管理に関する各種情報の取得は容易ではありません。また、建物の設計図や竣工図から改修に必要な情報を読み取るには専門知識が求められますが、建設業界ではこれらの業務に対応可能な人材が不足しているのが現状です。そのため、専門知識がなくても建物の維持管理に関する必要な情報を容易に入手できる仕組みの構築が急務になっています。
そこで当社は、こうした課題を踏まえ、紙に記録された竣工図をはじめとする保存時期が異なる大量の改修工事記録などの建物情報をBIM 化し、その情報を基にweb検索エンジン化※を図り、設備機器のメンテナンス時期、型番、メーカーなどのキーワードを文字入力するだけでBIMに基づく建物情報をweb上で素早く「取得」、「見える化」、「分析」できる検索システムとして「R2-BIM」を開発しました。
本システムの活用により、建物管理者が建物や図面に関する専門知識を十分に備えていない場合でも、これまで蓄積された建物の設計、施工、メンテナンス等に関する各種情報を容易に入手することが可能となり、建物の維持管理や改修などにかかわる業務効率の向上を実現できます。(図1参照)
本システムの特徴は以下のとおりです。
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専門知識がなくても必要な建物情報を取得可能
設計図書の解読や、膨大な量の紙書類の中からの資料探索、BIMソフトの操作といった煩雑な作業は必要ありません。本システムの利用者は入手したい情報のキーワードを文字入力するだけで必要な建物情報を取得できます。例えば、任意の「居室」「設備機器」「型番」「メーカー」などを文字入力することで建物情報を瞬時に検索し入手することができます。 - 2
web上で動作するため建物情報を容易に確認可能
本システムはweb上にBIMに基づく建物情報を保存しており、QRコードから簡単にアクセス・共有でき、スマホやタブレットなど様々な電子端末で同時接続が可能です。(図3参照)
今後当社は、本システムを活用して新築・改修にかかわらず対象建物の工事履歴情報について継続して提供可能な展開を図ってまいります。また、東京大学発ベンチャー企業である燈株式会社と協力して、今回開発した文字入力による建物情報検索システムと大規模言語モデル(以下、LLM)を組み合わせて対象建物の特性を考慮した独自システムを構築し、建物情報を会話形式で取得・記録可能なサービスへと進化させる取り組みを進め、建設に特化した独自のDXソリューションを目指します。
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web検索エンジン化:
専用アプリを用いずにweb上で動くシンプルな検索ツールとして提供できる仕組みを構築しており、BIMに基づく各種建物情報をBIM操作に依らずweb検索で入手できる。
- ※DX認定とは「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。