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デンソーと大成建設、カーボンニュートラル社会の実現に向け CO2回収システムを用いた共同技術検証を開始

建物内の空調設備でCO2を効率的に回収・利活用

2023年6月13日
株式会社デンソー
大成建設株式会社

 株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、代表取締役社長:有馬 浩二、以下 デンソー)と大成建設株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:相川 善郎、以下 大成建設)は、大成建設技術センター(横浜市戸塚区)内にある「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」において、デンソーが開発したCO2回収システムを用いてCO2を効率的に回収し、利活用する共同技術検証を本年9月より開始します。

 デンソーは、2030年の長期方針で「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」をスローガンに掲げ、「環境」と「安心」分野における提供価値の最大化に取り組んでいます。「環境」分野では、カーボンニュートラルの実現を目指し、「モノづくり」「モビリティ製品」「エネルギー利用」の3つの領域からさまざまな取り組みを行っています。その一つである「エネルギー利用」においては、工場などでの生産活動から排出されるCO2だけでなく、日々の生活の中で排出される小規模で低濃度なCO2回収を視野に入れた開発を行っており、「必要な場所で、どこでもCO2回収」の実現を目指し取り組んでいます。

 大成建設は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、大成建設グループが掲げる「TAISEI VISION2030」および中期経営計画の重点課題である「環境分野のフロントランナーを目指して、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを加速させる」ことを目的とした技術開発・実施適用を強化しております。その一つとして、建物のライフサイクル※1におけるCO2排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンビル」の実現を目指しています。

 本検証では、大成建設技術センター内にある「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」の会議室の空調設備に、デンソー製のCO2回収システムを組み込みます※2。本システムは「電界式」と呼ばれるCO2回収技術を採用しています。「電界式」は、電極に電気を流してCO2を吸着させ、その電圧を変えることで離脱させ回収する方式です。「電界式」にはデンソーが、自動車部品製造で培った排気ガスに含まれる有害物質を除去・浄化するために開発した、触媒やセンサーなどの技術が生かされており、高効率な回収とシステムの小型化を実現しています。さらに、必要なCO2回収量によって設置台数を調整することができ、顧客のニーズに柔軟に対応することが可能です。
 本システムの適用により、会議室使用時の排気からCO2を回収し、CO2濃度の低い空気を再度会議室内に給気します(技術検証概要1参照)。また、会議室未使用時は、大気中のCO2を外気から回収します(技術検証概要2参照)。回収したCO2は環境配慮コンクリート「T-eConcrete®※3」に固定する実験などに利用します。

 今後、両社は、本検証による成果を踏まえ建物への実装を推進することで、共にカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

  1. ※1建物を建設するための資材の調達、施工、運用、修繕、解体に至る全ての期間
  2. ※2デンソーのCO2回収システムは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション(GI)基金事業で開発を進めている技術の一部を活用しています。本案件は、空調設備を対象としており、GI基金事業で対象とする工場排ガス等のCO2濃度(~10%程度)と比較しCO2濃度(0.04~0.1%程度)がより低くなります。そのため、空調設備からのCO2回収はGI基金事業とは異なる研究開発要素があり、本案件はその検証を行うものです。なお、GI基金事業における開発テーマは次のとおりです。「CO2の分離回収等技術開発/低圧・低濃度CO2分離回収の低コスト化技術開発・実証/工場排ガス等からの中小規模CO2分離回収技術開発・実証/低濃度・分散排出源CO2の分離回収技術開発」
  3. ※3セメント使用量を抑制し、通常コンクリートと同等の強度、施工性を保持してCO2排出量を削減する環境に配慮したコンクリート。セメントの代わりに使用する産業副産物などの配合により、建築基準法対応型、フライアッシュ活用型、セメント・ゼロ型およびCarbon-Recycleの4タイプがある。

本検証の概要

「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」の会議室(面積:114m2、収容人数:57名)にCO2回収システムを設置し、会議室使用時は、空調機容量800m3/hの排気(CO2濃度約1,000ppm=0.1%)の一部からCO2を回収します。また会議室未使用時は、外気(CO2濃度約400ppm=0.04%)のCO2を回収します。今回の検証では、CO2回収は空調機容量の一部のみに適用されますが、将来的には設計や運転方法の改良などにより、空調機の全排気量からのCO2回収を目指します。

CO2回収システム(設置イメージ)
CO2回収システム(設置イメージ)
技術検証概要1 (会議室使用時)
技術検証概要1 (会議室使用時)
技術検証概要2 (会議室未使用時)
技術検証概要2 (会議室未使用時)

本件に関するお問い合わせ先

株式会社デンソー 広報渉外部 TEL: 0566-55-9752(本社)、070-4329-9416(東京)

大成建設株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 広報室TEL.03-5381-5011(ダイヤルイン)