リリース

「建設副産物巡回回収システム」の運用スキームを再構築

建材端材の資源循環促進により建設業界のサーキュラーエコノミーを推進

2023年1月13日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、建設副産物の資源循環を目的に2017年より現場導入してきた「建設副産物巡回回収システム」に、日本通運株式会社(社長:堀切智)が保有する静脈物流※1のノウハウを適用して、運用スキームの再構築を行いました。新たに日本通運の専用回収容器「NRボックス」と充実した物流ネットワークを活用することで、建設現場から発生する建材端材を効率的に回収し建材製造工場へ運搬することが可能となり、建設副産物から建材製品への資源循環が一層促進されることとなります。

 通常、建設現場から発生した建材端材は中間処理場で分別処理されますが、これらは分別できてもリサイクルすることが困難であり、その大半が埋立処分されています。そのため、これら建材端材をリサイクルするには、メーカーの製造工場で建材の原料等に再資源化できる「広域認定制度※2」の利用が最も有効な方法とされています。

 当社では同制度を利用するとともに、利用時の運搬効率向上のため、建材メーカー各社の端材運搬ルールを共通化し、複数現場を同一車両で巡回する「建設副産物巡回回収システム」を運用してきました。
 しかし、既存システムでは、運搬効率やマテリアルリサイクルの全般的な向上が認められたものの、繁忙期と閑散期による物流調整や車両の安定的な確保など、改善すべき課題も残されていました。
 そこで今般、石膏ボード端材の収集運搬サービスなど広域認定制度による建材端材回収に関して実績とノウハウを保有する日本通運と連携し、当社の既存システムに日本通運の物流サービスを組み込むことで、運用スキームを再構築し、上記の課題を解消いたしました。

 再構築した、システムの特徴は以下のとおりです。

  1. 1

    日本通運のネットワークと静脈物流のノウハウによる、効率的な巡回回収
    建材端材の分別・回収・運搬において、建材メーカー各社が日本通運を共通の運搬会社に指定していることから、各種品目・建材端材の同一車両による運搬はもとより、日本通運の物流ネットワークと静脈物流のノウハウを活用することで、更なる運搬効率の向上が見込まれます。

  2. 2

    「NRボックス」の利用により、他の建設副産物混入を防止
    日本通運が開発したキャスター付き専用回収容器「NRボックス」を利用することで、専門工事業者ごとの建材端材の管理が可能となり、集積場で起こりやすい他の建設副産物の混入を防止し、より安全で確実な運用が可能となります。

  3. 3

    建設副産物の巡回回収・運搬時のCO2排出量や処分費を大幅削減
    建材端材の処理において、再構築前の本システムを運用し巡回回収した場合、中間処理場へ運搬する通常の処理と比較して、車両運搬にかかるCO2排出量の約6割を削減できることを確認しています。同様に、処分費用も最大で約6割の削減が可能です。今回の運用スキーム再構築により一層の効率化が見込まれるため、更なるCO2排出量と処分費用の削減が期待できます。

 今後、当社は、日本通運と連携し、再構築した本システムの安定的な運用とより多くの建設現場への普及展開を図るとともに、建設業界のサーキュラーエコノミー推進に貢献してまいります。

図1 建設副産物巡回回収システム概要図
図1 建設副産物巡回回収システム概要図
図2 建材端材の例
図2 建材端材の例
図3 NRボックス
図3 NRボックス
  1. ※1

    静脈物流:使用済製品の廃棄や不要品、副産物などの再利用、再販、再資源化等に関する物流

  2. ※2

    広域認定制度:
    建材メーカー等が環境大臣の認定を受けて自社製品が廃棄物となったもの(製品端材等)を広域的に回収し、製品原料等にリサイクル又は適正処理する制度