『カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック』の現場実証を開始

国土交通省関東地方整備局公募事業において、現場ニーズと技術シーズのマッチングが成立

2022年12月12日
大成建設株式会社
日建工学株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎) と日建工学株式会社(社長:皆川曜児)は、国土交通省関東地方整備局が公募した「第3回コンストラクション オープンイノベーションマッチング」において、同局の現場ニーズに対して当社と日建工学の技術シーズをマッチングさせた『カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック』を製造し、2022年8月から同局の荒川下流河川事務所管内の現場にて、CO2吸収効果などの性能について現場実証を開始しました。
 また、CO2削減の取り組みを現地においても積極的にアピールすべく、2022年12月からは同局により本実証試験の紹介看板が現場内にて掲示されております。
 国土交通省関東地方整備局ではi-Construction推進の一環として、新技術の現場導入に関わる技術開発や企業間連携“×Tech.”(クロステクノロジー)を実装するため、2017年度から公募事業として、「現場ニーズと技術シーズのマッチング※1」を行っています。
 本公募事業の「第3回コンストラクション オープンイノベーションマッチング※2」に挙げられた現場ニーズである「CO2吸収コンクリートによるコンクリートブロック」のテーマに対して、大成建設と日建工学は、技術シーズとして大成建設の「T-eConcrete®/Carbon-Recycle※3」と日建工学の「環境活性コンクリート※4」を組み合せた『カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック』を共同で提案しました。
 その結果、現場ニーズと技術シーズのマッチングが成立したため(図1参照)、この度、災害対策備蓄用としてCO2を吸収する根固めブロックを製造し、2022年8月から同ブロックの性能実証試験を行っています。

写真1 製作した根固めブロック(環境活性コンクリートを添付した3トンタイプ2基の重なり状態、1トンタイプ1基)
写真1 製作した根固めブロック
(環境活性コンクリートを添付した3トンタイプ2基の重なり状態、1トンタイプ1基)

 公募事業で採択された現場ニーズと技術シーズの特徴は図1のとおりです。

図1 マッチングが成立した現場ニーズと技術シーズ
図1 マッチングが成立した現場ニーズと技術シーズ

 今後、両社は、コンクリートブロック製造時の工程・品質・安全性などの評価、備蓄・供用時のCO2吸収量の評価を行うとともに、実現場への適用や展示会などへの参加を通して、さまざまな事業におけるCO2削減活動の普及促進および啓蒙に努めてまいります。

  1. ※1

    現場ニーズと技術シーズのマッチング:
    2017年度から国土交通省関東地方整備局が実施している、i-Construction推進の一環であり、2019年度からは関東経済産業局及び中小企業基盤整備機構関東本部で実施しているオープンイノベーション・マッチングスクエアと連携した「コンストラクション・オープンイノベーションマッチング」として公募している事業。

  2. ※2

    第3回コンストラクション オープンイノベーションマッチング:

    現場ニーズ71件(うちOMIS:維持管理部門9件のニーズ)の公募に対して、様々な分野の企業から33技術の応募があり、このうち15件の現場ニーズへの25社27技術の提案について個別マッチングイベントを実施し、現場実証に向けたマッチングが22件成立。荒川下流河川事務所からの現場ニーズとして公募された「CO2吸収コンクリートによるコンクリートブロック」に対し、技術シーズとして大成建設と日建工学が「カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック」を提案し、採択に至った。

  3. ※3

    T-eConcrete®/Carbon-Recycle:
    「T-eConcrete/Carbon-Recycle」は、排気ガスや大気中から回収したCO2にカルシウムを反応させて生成する炭酸カルシウムなどのカーボンリサイクル材料と、製鉄で生じる産業副産物である高炉スラグを用いて製造するコンクリート。CO2を炭酸カルシウムに置き換えて練り混ぜることで、コンクリート内部にCO2を固定できる。
    (詳細技術概要:https://www.taisei.co.jp/t-econcrete/

  4. ※4

    環境活性コンクリート:

    アミノ酸の一種「アルギニン」を混ぜたコンクリートで、水中において「アルギニン」を長期間に亘り溶出させて、付着微細藻類や小型藻類の成長促進等に効果を発揮。藻類が固定したCO2はブルーカーボンとしてCO2削減効果が計上できる。