「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」に製紙工程で生じる炭酸カルシウムを活用
広島県カーボンリサイクル関連技術研究開発支援事業補助金に採択
2022年11月24日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎) は、CO2排出量削減に寄与する独自コンクリート技術「T-eConcrete※1」のうち、カーボンネガティブを実現するカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle※2」に、製紙工程で生じる炭酸カルシウムを原料として活用する研究および実証を開始しました。本研究は、広島県が公募した「カーボンリサイクル関連技術研究開発支援事業補助金(HIROSHIMA CARBON CIRCULAR PROJECT)」において、県内企業の課題『製紙の工程で生じる炭酸カルシウムの活用』の解決提案として応募し、この度採択されたものです。
広島県では、2050年までにカーボンリサイクル事業を県内産業の柱の一つとして育成し、県内経済の発展、さらには世界に貢献することを目標として、カーボンリサイクルの「ファーストペンギン※3」になるべく、産学官連携や研究活動の集積に向けた取り組みに着手し、カーボンリサイクル関連技術の研究・実証支援制度を今年度から実施しています。
一方、当社が2020年度に開発した「T-eConcrete/Carbon-Recycle」の利用拡大には、大量の炭酸塩(炭酸カルシウム等)の確保が必要で、現状では供給量が限られている炭酸塩を大量に調達する方法が課題となっていました。
そこで当社は、この度、製紙メーカーから課題として提示された「製紙の工程で生じる炭酸カルシウムを活用」する技術開発に着目し、「T-eConcrete/Carbon-Recycle」に製紙工程で生じる炭酸カルシウムを活用した場合の性能評価およびコンクリート二次製品等の製造可能性の探索を目的として同支援制度に応募し、採択が決定しました。
今後、当社は、本支援制度における実施項目(表1参照)に基づき研究・開発を進め、製紙工程で生じる炭酸カルシウムを原料とする「T-eConcrete/Carbon-Recycle」の実現を目指して成果の普及展開を図り、脱炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。
- ※1
環境配慮コンクリート「T-eConcrete」:
セメントの使用量を抑制し、通常コンクリートと同等の強度、施工性を保持しながら、CO2排出量の削減が可能。セメントの代わりに加える産業副産物などの配合状況により、建築基準法対応型、フライアッシュ活用型、セメント・ゼロ型およびCarbon-Recycleの4タイプがあり、目的用途により適切な仕様のコンクリートで対応可能。
(詳細技術概要: https://www.taisei.co.jp/t-econcrete/) - ※2 T-eConcrete/Carbon-Recycle:
「T-eConcrete/Carbon-Recycle」は、排気ガスや大気中から回収したCO2にカルシウムを反応させて生成する炭酸カルシウムなどのカーボンリサイクル材料と、製鉄で生じる産業副産物である高炉スラグを用いて製造するコンクリート。CO2を炭酸カルシウムに置き換えて練り混ぜることで、コンクリート内部にCO2を固定でき、以下の特徴がある。- ①コンクリート内部にCO2固定が可能
- ②コンクリートの製造過程におけるCO2排出量収支のマイナスを実現
- ③通常設備で製造でき、普通コンクリートと同等の強度、施工性を発揮
- ④コンクリートのアルカリ性を保つことにより、鉄筋の腐食を抑止して、構造物の耐久性を維持
- ※3
ファーストペンギン:
集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ魚を求めて最初に飛びこむ最初の1羽のペンギンのことを指し、この勇敢なペンギンのように、リスクを恐れず初めてのことにチャレンジするベンチャー精神を持って行動すること