地方創生に寄与する新たなデジタルコミュニケーション 古民家にて「現実空間」と「仮想空間」を共有する実証実験を開始
大成建設、群言堂、ワントゥーテンの3社共同「石見銀山メタバースプロジェクト」を始動
2022年11月16日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、株式会社石見銀山群言堂グループが保有する古民家「鄙舎(ひなや)」において、現実空間の「鄙舎」と、仮想空間の「バーチャルひなや」とをリアルタイムで、かつ身体感覚を伴った高い情報密度での相互共有が可能な「デジタルツインバースシステム」※1を構築しました。
また、距離の壁を超え、情報密度の高いコミュニケーションが可能となることから、本システムを地方創生に資するプラットフォームと位置づけ、社会実証実験※2を開始します。
これまで、遠隔地とのコミュニケーションは一般的にSNSでのテキスト・画像通信、または動画配信、オンライン会議などの情報レベルに留まり、身体感覚を伴った情報密度の高いコミュニケーションは困難でした。
そこで当社は、石見銀山群言堂が保有する築約260年の古民家「鄙舎」を実測することにより作成したBIM※3モデルと、建物の運用管理データを統合管理する「Life Cycle OS」※4を活用することで、「鄙舎」のデジタルツイン「バーチャルひなや」を構築しました。
さらに株式会社ワントゥーテン(社長:澤邊芳明)が開発したデジタルツインとAIエージェント統合ソリューションの「QURIOS(キュリオス)※5」に「バーチャルひなや」のデータを提供することで、位置、音声、映像等さまざまな情報において、現実空間の「鄙舎」と、仮想空間の「バーチャルひなや」によるリアルタイムでの相互共有が可能となる、デジタルツインバースを構築しました。また、XR※6やAIエージェント、ロボットなど、高度なデジタル技術を導入することで、身体的感覚を伴った密度の高い情報が得られ、直接会って会話をしているようなライブ感が実現できることが特徴です。
本プラットフォームを使用することで、世界中どこからでも仮想空間上の「バーチャルひなや」に滞在が可能となり、さらに現実世界の「鄙舎」との身体感覚を伴った情報密度の高いコミュニケーションが可能となります。
今後は、2027年の石見銀山開山500年&世界遺産登録20周年にあわせ、本実証実験で得られた仮想空間における空間体験設計の知見を活かし、石見銀山の街道(約80m)のデジタルツインを構築するなど、石見銀山全体に展開する予定です。
さらに、本プラットフォームは建物や都市など様々なスケールにも展開できることから、全国各地の地方創生はもとより、様々なワークショップや商品説明など、活用の幅を広げるべく、検証を継続してまいります。
- ※1
デジタルツインバースシステム
現実空間と紐づかない従来型のメタバースではなく、現実空間とデジタルツイン(現実空間を模した仮想空間)とで、相互にリアルタイムなコミュニケーションができる次世代型メタバース。 - ※2
社会実証実験
・既存木造古民家を対象としたBIM化技術の検証。
・BIMの部材情報を活用した手書き風テクスチャや四季折々の音を適用し、石見銀山の歴史を独特な世界観で仮想空間上に表現。
・現実空間と仮想空間を繋ぐデジタルツインバース空間に向けた新たなデザインを検証。
・地域の活性化やエリア価値を向上させるため、企業や大学、または個人など様々なユーザーが参画できる、デジタルツインプラットフォームを構築します。石見銀山という場を仮想空間に拡張しながら、ショールームやイベント、ECサイト等様々なユースケースの開拓と実装課題の検証に取り組む。 - ※3
BIM
建物の形状データに属性データを付加したデータ(Building Information Modeling) - ※4
Life Cycle OS
業界初、BIMと建物の運用管理データを統合管理するソリューション
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210201_5074.html - ※5
QURIOS(キュリオス)
株式会社ワントゥーテン/1→10,Incが開発した、現実空間とデジタルツイン空間とが相互作用するミラーワールドや、人間をサポートするAIエージェント等の高度な技術を活用し、あらゆる空間の体験設計を、コンサルティングから開発・実装までワンストップで提供するサービス。
https://www.1-10.com/project/qurios - ※6
XR
VR/AR/MR などの様々なデジタルデータの見え方やリアリティ体験。