CO2排出量削減効果の評価システム「T-ZCB」を構築し、自社施設での実証を開始

建築物ライフサイクルにおけるゼロカーボンビルの建設を推進

2022年9月9日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、建築物のライフサイクルにおけるCO2排出量を実質ゼロにするゼロカーボンビルの建設を推進するため、初期計画段階で建築物のライフサイクルCO2排出量及びCO2削減技術の効果を可視化し、建築物の脱炭素化を体系的に評価するシステム「T-ZCB(ゼロカーボンビル)※1」を構築しました。本システムの適用により、お客様のCO2排出削減目標に沿った建設計画の立案を支援し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
 また、現在計画中の大成建設グループ次世代技術研究所の建設において、「T-ZCB」を適用し、その有効性を検証してまいります。

 2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建築物のライフサイクルで発生するCO2排出量(図1参照)を把握し、削減することは、設計・施工者だけでなく建築物を所有・運用するお客様にとっても必要不可欠な取り組みです。しかし、現在、建築物のライフサイクルCO2排出量の削減目標を設定し、その達成状況などを評価するシステムは少なく、特にオフィスや工場などの計画立案時において課題となっていました。
 そこで当社は、初期計画段階において、建築物のライフサイクルでのCO2排出量と削減効果を可視化して評価するシステム「T-ZCB」を構築し、お客様の脱炭素化に向けた要求に応える体制を整えました。
 本システムは建築物のライフサイクルで発生するCO2排出量と削減効果を「調達、施工、運用、修繕、解体」のフェーズ毎に可視化して評価するとともに、その削減に寄与する主要な技術や当社が注力するZEB化技術と組み合わせ、連携させることで、段階的に建築物の建設計画を推進し、ゼロカーボンビルの実現を目指します。

図1 建築物のライフサイクルにおけるCO2排出量のイメージ(円の大きさはフェーズ毎のCO2排出量)
図1 建築物のライフサイクルにおけるCO2排出量のイメージ(円の大きさはフェーズ毎のCO2排出量)

 本システムの特長は以下の通りです。

  1. 1

    CO2排出量および削減効果を可視化した「T-ZCBチャート」で建築物を体系的に評価
    フェーズ毎の累積CO2排出量を可視化するT-ZCBチャート(図2参照)を作成し、建築物のライフサイクルでのCO2排出量削減度に応じて、50%削減を「ZCB-Ready」、75%削減を「Nearly-ZCB」、100%削減を『Net-ZCB』として定義することで、建築物のライフサイクルでのCO2排出量の削減状況を分かり易く評価し、体系化できます。

  2. 2

    CO2排出量算出ツール「T-LCAシミュレーターCO2※2」の活用
    本システムは、建築物のLCA指針(日本建築学会)に準拠した評価体系を維持しつつ開発した、当社独自のCO2排出量算出ツールである「T-LCAシミュレーターCO2」を活用します。当社の脱炭素に係る蓄積技術やノウハウを活用して、短時間で容易に概算値を算出し、CO2排出量の削減効果を定量的に評価することが可能です。

    図2 T-ZCBチャート
    図2 T-ZCBチャート

 今後、当社は大成建設グループ次世代技術研究所における「T-ZCB」の実証を踏まえ、新規・改修案件において本システムを積極的に活用しながら脱炭素技術の提案・導入を推進し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

  1. ※1

    T-ZCB(ゼロカーボンビル):
    建築物のライフサイクル全体でのCO2排出量を可視化して評価するシステムとして、LCA研究の権威である法政大学川久保教授にご指導いただきながら、共同開発した。

  2. ※2

    T-LCA シミュレーター CO2
    建築物のライフサイクルに係るCO2排出量や削減効果を、建築物の計画初期段階から解体までのフェーズに応じて概算値として算出することが可能なツールとして開発した。
    https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2022/220530_8796.html

【参考1】フェーズ別CO2削減技術

①調達フェーズ(ゼロカーボンデザイン)
②施工フェーズ(修繕・解体含む)(ゼロカーボンコンストラクション)
③運用フェーズ(ゼロカーボンオペレーション)