CO2を固定した炭酸カルシウムのT-eConcrete®への活用に向け伊藤忠商事株式会社・Mineral Carbonation International社と協業開始
2022年8月22日
大成建設株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は伊藤忠商事株式会社(社長COO:石井敬太)と、CO2固定化技術を有する豪州Mineral Carbonation International社(CEO & Managing Director Marcus Dawe、以下「MCi社」)との協業に関する覚書を締結しました。
大成建設※1は、環境に配慮しCO2の削減に寄与する独自のコンクリート技術「T-eConcrete®」シリーズの開発を進めています。その中で「T-eConcrete/Carbon-Recycle」は、CO2を固定した炭酸塩(炭酸カルシウム)をコンクリートに練りこみ、コンクリート内部にCO2を封じ込める技術です。これにより、主要建設資材であるコンクリートの製造過程におけるCO2排出量の削減に大きく貢献します。
伊藤忠商事※2は、昨年7月にMCi※3社に出資し、本技術の日本での展開を通じたCO2削減を目指しており、本技術の普及には炭酸塩の利活用の促進が重要と認識し、様々な用途での活用を検証しています。今般、コンクリート原料としての炭酸塩の活用につき、大成建設と検証を進めることに合意しました。
MCi社は、豪州でCO2固定化技術を研究・開発するスタートアップ企業であり、製鉄工程で生じるスラグ等の副産物(主に製鋼スラグ)や火力発電所で生じる石炭灰、その他カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質【鉱山での尾鉱 (金属や鉱物の回収過程で生じる副産物) など】にCO2を固定させた炭酸塩 (炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等) を製造する技術を有しています。
3社は互いの強みを活かし、「T-eConcrete/Carbon-Recycle」に対しMCi社のCO2固定化技術による炭酸塩の供給を通じて、「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」への適用可能性の検証と今後の幅広い実用展開・商業化の追求を目指し、この度、覚書を締結しました。
今後はCO2を固定した炭酸カルシウムの製造・活用を基軸としたバリューチェーンの構築を進め、日本国内のCO2削減需要に合わせた供給とのマッチングを図り、取引先企業のCO2削減課題の解決に寄与し、脱炭素社会の構築に貢献してまいります。
- ※1
大成建設は2021年に「T-eConcrete/Carbon-Recycle」の開発を発表し、実施適用を進めるとともに、今後のより幅広い普及に向けた技術改善や原料となる炭酸カルシウムの調達を検討しており、MCi社が供給する炭酸塩は有望な材料として考えています。
- ※2
伊藤忠商事はMCi社技術の日本国内での展開を図るべく、2021年3月に同社と覚書を締結しました。その後、早期に実用化できる可能性があること、鉄鋼業界・電力業界等からの本技術への関心が非常に高いことを総合的に鑑み、2021年7月、同社への出資に至りました。なお、本出資に伴い、MCi社技術の日本での事業展開については伊藤忠商事が独占的に行うこととなっています。
- ※3
MCi社の「CO2固定化技術」は豪州国内外で高く評価されており、2021年11月にグラスゴーでのCOP26に合わせて開催された様々な脱炭素技術を有する2700社以上のスタートアップ企業同士が競うピッチバトルで優勝しました。既にパイロットレベルでの実証を済ませており、本技術の更なるスケールアップを図るため,現在、豪州国内で大規模な実証プラントの建設準備を進めています。