細胞培養遠隔操作システムを改良

ピペットとシャーレを両手で操作

2020年2月28日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、力触覚伝達型遠隔操作システムを用いて、実際の細胞培養作業に合わせ、2台の「人協働ロボット」を用いてピペットとシャーレを両手で操作することができる、改良型プロトタイプを構築しました。

 当社は2016年よりロボットアームを用いた力触覚伝達型遠隔操作システムの開発を進め、2019年7月には細胞培養操作向けのプロトタイプ初号機を開発し、細胞培養操作における生産性向上などに貢献するための第一歩を踏み出しました。
 今回改良したプトロタイプは、特に操作性、画像品質、再現性などの向上を目的として構築されており、以下のような特徴を備えることで、細胞培養作業の効率化による生産性向上と蓄積された操作データの利活用が図れます。(写真1参照)

【改良機の特徴】

  1. 1

    操作側と遠隔側に2台ずつの「人協働ロボット」を採用し、両手にピペットとシャーレを把持した状況で細胞培養操作が可能。

  2. 2映像圧縮技術を搭載したシステムを採用し、4K高画質映像で遠隔地にある細胞や培地などの状態を把握でき、映像伝送遅延などの影響をほとんど受けずに遠隔操作が可能。
  3. 3

    ロボットアーム動作だけでなく、ピペットの吸引・吐出動作を記録・再生することができ、また、シャーレを把持する装置にも「力覚センサ」を搭載し、細胞培養操作におけるシャーレ内の液面変動や傾きなどのデータ取得が可能。

【導入により期待される効果】

  1. a

    本システムの導入により、熟練の細胞培養者1名が遠隔から複数施設における細胞培養を行えることから、作業効率が向上。

  2. b細胞培養遠隔操作データを蓄積することで、将来的には属人化した技能とされてきた細胞培養操作に関するデジタル画像や数値データなどを分析し、有効なデータの利活用が可能。
  3. c

    モバイル環境下での利用を想定し、5Gネットワークを活用したリアルタイムで低遅延な細胞培養遠隔操作が可能。

 今後、当社は、力触覚伝達型遠隔操作システムを搭載した技術の普及展開を推進し、医薬品関連の研究・生産施設等における革新的な生産性向上の実現に向けて取り組んで参ります。

写真1 人協働ロボットを用いた力触覚伝達型遠隔操作システム
写真1 人協働ロボットを用いた力触覚伝達型遠隔操作システム