フレッシュコンクリートの分離抵抗性の簡易評価手法を開発

−着色したコンクリート試料の挙動を可視化し、判定−

2015年5月21日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、フレッシュコンクリートの分離抵抗性※1を可視化し、簡単に判定できる手法『T-ポストスランプ試験※2を開発しました。

 フレッシュコンクリートの品質評価方法は、一般的には流動性を確認するためにスランプ試験が実施されています。しかし、この試験だけでは、フレッシュコンクリートの分離抵抗性を確認することはできず、高密度な配筋の場合に問題となる充填不良を予測するためには、事前に高度な測定機器を用いて確認する必要があります。ただ、この方法では時間や費用がかかるため、実際には専門技術者がコンクリートに直接触って判断するなど経験に頼っている状況でした。

 今回開発した簡易評価手法『T-ポストスランプ試験』は、通常行うスランプ試験実施時にコンクリート試料上面の円形部にフェノールフタレイン溶液を噴霧して着色し、その後の試料の挙動を可視化する方法です。具体的には、スランプ試験後に試料が載った鉄板の四隅を規定の大きさになるまで叩き、着色部分の広がり方を見て評価するため、分離抵抗性を数分程度で判定できます。また、評価は予め指定した基準形と着色部分の広がり方を比較するだけなので、経験の少ない技術者でも容易にコンクリートの状態を判断することができます。

 今後は、当社独自の簡易評価手法として適用拡大を進め、現場でのコンクリートの品質管理やコンクリートの配合選定に活用していきます。

  1. ※1フレッシュコンクリートの分離抵抗性は、水、セメントと、砂などの細骨材から構成されるモルタル部の一体性、およびモルタル部と砂利、砕石などの粗骨材の一体性を表すもので、コンクリートの施工性の確保やコンクリート強度が十分に発現できるよう、過不足のない配合設計や、品質管理が重要となります。
  2. ※2『T-ポストスランプ試験』は、日本コンクリート工学会より2014年度技術賞を受賞した「締固めエネルギーの観点から見たフレッシュコンクリートの品質および施工性能の評価」を構成する技術の一部として評価されています。

『T-ポストスランプ試験』の実施手順 、試料状況/判定

フレッシュコンクリートの分離抵抗性の簡易評価手法を開発