フレッシュコンクリートの分離抵抗性の簡易評価手法を確立

− 簡易試験でコンクリートの施工不良を防止 −

2012年10月16日
大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長:山内隆司)は、打設前のフレッシュコンクリートの「分離抵抗性」を簡易に評価する手法を確立いたしました。これは、フレッシュコンクリートの品質確認試験として実施されているスランプ試験を行った後に、そのコンクリート試料が乗った鉄板の四隅を木槌等でたたき、試料の広がり方を当社が設定した基準形と照らし合わせることにより、その分離抵抗性を評価するものです。試験作業自体は四隅をたたくだけなので、数分程度で完了することができ、その後も指定された基準形と比べて判断するだけなので、誰にでも容易に実施することができます。

フレッシュコンクリートの品質検査における事前試験は、今までも流動性を確認するためのスランプ試験が実施されてきましたが、この試験だけでは、過密配筋の際に問題となる充填不良を防ぐのに必要となる分離抵抗性を確認することはできませんでした。この分離抵抗性は、事前に高度な測定機器に掛けて確認する以外には評価が難しく、実作業においては技術者がコンクリートに直接手で触れるなど、それぞれのやり方と経験で判断する以外に評価手法が確立していませんでした。

このたび開発した簡易評価方法を用いれば、経験の少ない技術者であってもコンクリートの品質を速やかに判断することができ、現場での品質確認をより確実に実施することができます。

大成建設は、この評価手法をまずは橋梁など土木構造物の現場で実施し、データ収集を進め、今後は骨材の地域特性やそれぞれの作業所の気象条件の変化にも対応できるものとし、アジア地域など海外での展開も視野に活用していきます。

評価方法およびコンクリート施工現場への適用例

  1. 1スランプ試験後、スランプフローが470mmになるまで試料が置かれたスランプ板の四隅を木槌で叩く。
    →470mmになるまでに崩れたり、試料周辺の水跡ができた。
    →分離傾向が強い
    →骨材やコンクリートの配合の確認
  2. 2470mmになった段階で試料の上部に残る円形の有無を確認する。
    →無:粘性が低い。(材料分離や砂すじ発生するため締固め作業に留意)
    有:粘性が適正もしくは高い。→さらに、スランプフロー520mmまで鉄板の四隅を木槌で叩く。
  3. 3520mmになった段階で試料の上部に残る円形の有無を確認する。
    →無:粘性が適正である。
    有:粘性が高い。(充填不足の発生に注意して締固め作業に留意)
フレッシュコンクリートの分離抵抗性の簡易評価手法を確立