機械自体が判断・作業する次世代無人化施工システムの実証実験に成功

2014年7月10日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は今般、次世代無人化施工システムの実証実験を行い、その有効性を確認しました。機械自体が判断して作業する、自律化施工という次世代の無人化施工システムの実用化に向け、大きく前進をしたことになります。
なお本開発は、平成24年度から26年度に掛けて継続採択されている国土交通省建設技術研究開発助成制度の採択に基づき行っているものです。

 当社はこれまで無人化施工技術の活用として、雲仙普賢岳など、人が立ち入る事のできない警戒区域において、重機の遠隔操作による災害復旧工事の実施施工を行ってまいりました。しかし、これまで実施されてきた技術は、オペレーターが重機周辺に設置された複数の動画カメラからの送信映像を確認しながら、絶えず操縦桿を操作する「遠隔操作方式」に限られていました。
この「遠隔操作方式」は、操作が難しく特殊なため、オペレーターの熟練度に頼るところが大きく、また映像を確認するためのカメラ専用車など複数の支援機械が必要です。さらに、これら支援機械の制御や、撮影された動画を送信するための高速通信網も必要となります。

 これに対し、今回実証実験に適用した「次世代無人化施工システム」と呼ばれる技術は、この「遠隔操作方式」に代わる「自律方式」の技術です。
重機に搭載されたセンサー類により周辺状況を重機自体が判断しながら作業するため、常時の遠隔操作も支援機械も不要です。オペレーターは最初に作業目標の設定をし、スタートボタンを押し、あとは作業完了を確認するのみです。
今回の実証実験では、モデル重機を11トン級振動ローラーとしました。まず、締固め範囲と回数、重複幅を専用プログラムの入ったパソコンに入力、指示することで、重機の動作を開始させました。開始後は、重機自身のセンサーによって自己位置、姿勢、速度、周辺状況等を常に把握しながら、「自律方式」により転圧作業を行いました。その後、所定の位置に正確に戻り、作業完了をオペレーターへ知らせ、停止しました。
また、未転圧を防ぐため設定する転圧の重複幅は、従来の遠隔操作と同等の50センチメートル以下としても確実に施工できたことから、走行精度の高さも実証され、本技術が有効に機能していることが確認できました。

 今後は、この実証実験をもとに、人が立ち入れない危険区域や災害現場の復旧・復興等の過酷な環境における実施適用はもちろん、更なる技術の高度化によって、適用現場の拡大を目指してまいります。

機械自体が判断・作業する
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