リリース

水中コンクリートの打上がり高さ自動計測システム「T-Pile Measure」を開発

- 計測の自動化・デジタル化で建設DXを推進し、生産性向上とコスト削減を実現 -

2024年3月19日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、「生産プロセスのDX」の一環として、関西オートメイション株式会社(社長:宮坂典央)、成和リニューアルワークス株式会社(社長:幸長茂雄)と共同で、水中に打設するコンクリートの打上がり高さを自動計測するシステム「T-Pile Measure」を開発しました。本システムの適用により、コンクリート打設時に計測員の常駐が不要になるとともに、測定値の人的誤差解消や計測データのデジタル化から作業効率の向上が図られ、建設DXの推進による現場の生産性向上が実現できます。

 場所打ち杭や地中連続壁の構築工事は、掘削地盤の孔壁の崩壊を防ぐ目的で孔内を安定液で満たした状態で進めます。良質なコンクリート構造物を施工するには、コンクリート打設時にフレッシュなコンクリートと安定液が接触しないようにする必要があるため、トレミー管と呼ばれる配管の先端をコンクリート内に2~8m挿入させた状態でコンクリートを打設する「トレミー工法※1」が多数採用されています。この工法では、トレミー管先端の挿入長さを管理するために水中コンクリートの打上がり高さを適宜計測する必要があり、従来は計測員が常駐し、計測テープの先端に取付けた錘を安定液中に垂らして人力で打上がり高さを計測してきました。このため従来の計測方法では測定・記録に時間と手間がかかる上に、連続計測は困難で、計測値にも人的誤差が生じやすく建設現場での精度確保なども課題となっていました。
 そこで当社ほか2社は、水中に打設するコンクリートの打上がり高さを全自動で連続的に計測することができ、計測値をデジタルデータとして取得できる自動計測システム「T-Pile Measure」を開発しました。本システムの適用により、水中コンクリート打設時に計測員が常駐する必要がなくなり、正確な計測と計測データの視覚的な表示や、記録・データ管理の効率化および情報共有、さらには適切なコンクリート打設量管理による残コンクリート削減といったデジタル化のメリットを数多く享受することができ、当社の建設DX推進に大きく寄与します。

本システムの特徴は以下のとおりです。(図1、2、写真1参照)

  1. 1

    任意の計測間隔で打上がり高さを自動計測可能
    予め設定された計測プログラムに従って、任意の計測間隔で水中コンクリートの打上がり高さを自動計測することが可能です。

  2. 2

    大深度での計測にも対応可能
    人為計測では対応が困難な大深度の基礎工事でも大型の錘を使用して正確な計測データを取得することが可能です。

  3. 3

    計測データのデジタル化により作業効率が向上
    計測値はデジタルデータで得られるため、各種管理帳票へのデータ移行がスムーズに行え、記録やデータ整理などの作業効率が格段に向上します。また、計測データをモバイル端末に視覚的に表示することで、関係者間での情報共有や遠隔からのデータ確認などにも活用が可能です。

  4. 4

    コンクリート打設量の適切な管理ができ、残コンクリートを削減
    水中コンクリート打上がり高さが正確に把握できるため、コンクリート打設量の適切な管理が実現します。コンクリートを余分に用意しておく必要がなく、残コンクリートの削減が可能となるため、CO2排出量およびコストの削減につながります。

 今後当社は、本技術をコンクリート打設に関わる新開発技術「T-Pileシリーズ」の一環として、土木・建築分野を問わず、場所打ち杭や地中連続壁の構築に積極的に展開してまいります。

図1 従来と本システムの計測方法比較
図2 錘の動作とコンクリート打上がり高さの関係
図2 錘の動作とコンクリート打上がり高さの関係
写真1 T-Pile Measure外観
写真1 T-Pile Measure外観
  1. ※1

    トレミー工法:
    トレミー管と呼ばれる配管の先端をコンクリートに挿入させた状態でコンクリートを打設する工法で、コンクリートと打設する孔に満たされた安定液との接触を防ぐことで良質なコンクリートを打設できる。