室温変化に対応した最適空調制御システム「T-Optimus Control System」を開発

空調風量の自動制御により空調エネルギーを削減

2022年12月15日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(代表取締役社長:相川善郎)は、クリフ株式会社(代表取締役社長:藤本大輔)と共同で、医薬品製造施設等で使用するクリーンルームの空調省エネルギー技術として、生産機器の発熱による室温変化に対応した最適空調制御システム「T-Optimus Control System」を開発しました。本システムの導入により、これまで一定量で送風されていた空調風量を室温の変化に応じて自動制御することが可能となり、空調エネルギーの削減が期待できます。

 医薬品製造施設等に設置される従来のクリーンルームでは、室内の清浄度確保を前提とし、生産機器が正常に稼働を続け、最も発熱した状態を基に室温変化の影響を低減するよう空調風量が設定されています。そのため、機器からの発熱が小さい状況でも空調風量を減少させることなく一定量を送風し続けることから、空調エネルギーが大きくなるという課題がありました。

 そこで当社は、室内の清浄度を確保しつつ、クリーンルーム内の生産機器発熱による室温変化に応じて空調風量を自動的に変動させる最適空調制御システム「T-Optimus Control System」を開発し、実験により空調エネルギーの削減効果を検証しました。

 本システムの特徴は以下のとおりです。(図1、2参照)

  1. 1

    室温に応じて空調風量を自動制御し、空調エネルギーを削減
    本システムは、クリーンルーム内の室温変化に応じて空調風量を自動的に変動させることで、空調エネルギーを削減できます。これまで一定量の空調風量で送風していた場合と比べ、30%程度空調エネルギーが削減されます。

  2. 2

    空調風量の大小に関わらずクリーンルーム清浄度を維持
    空調風量が大小変動した場合でも、清浄度維持に必要な空調風量を適切に設定することで常にクリーンルームの清浄度を維持することができます。

  3. 3

    空調風量の自動制御により室圧変動を抑制し隣室間の空気の流通を防護
    高分解能型変風量装置および室圧調整ダンパーを用いて、空調風量が自動的に変動する際に室圧変動を抑制し、隣接する室内空間との空気の出入りを防護することで清浄度を維持します。

 今後、当社は、医薬品製造施設・研究施設等のエネルギー多消費型施設を中心に、クリーンルームの空調省エネルギー化を実現する有効なツールとして、本システムを積極的に提案してまいります。

図1 従来システム
図1 従来システム
図2 最適空調制御システム「T-Optimus Control System」
図2 最適空調制御システム「T-Optimus Control System」