新型高性能機器免震装置「TASSユニット®」を開発

装置共通ユニット化・合理化により、製作期間半減と歩行振動抑制を実現

2022年11月22日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)と株式会社エーエス(社長:森明広)は、2009年に共同開発した半導体製造装置向け高性能免震装置「TASSユニット」を改良し、この度、様々な形状の半導体製造装置に対応でき、短期で納品が可能となる新型TASSユニットを開発しました。免震装置の共通ユニット化と設置架台の合理化により、従来型の免震性能を維持したまま製作期間が従来の半分に短縮され、半導体装置を設置した架台の歩行振動も抑制されるなど、安定した半導体製造が可能となり生産性向上を図ることができます。

 地震時の揺れを低減し半導体製造装置の損傷を防ぐTASSユニットは2009年の初適用以来、国内および台湾において既に3000台以上が採用され、継続的に納入実績を伸ばしています。しかし、従来型TASSユニットは、半導体製造装置の形状や重量配置に合わせて免震装置(支承ユニット)を個別に設計しており、その製作納期が半導体の製造開始に直接影響を及ぼしていました。

 そこで両社は、従来型では一体で製作していた、転がり支承と設置架台を分離製作(現場組立)する方式に改良し、転がり支承の共通ユニット化と設置架台の合理化によって、様々なタイプの半導体製造装置に対応できる新型TASSユニットを開発しました。

 新型TASSユニットの特徴および期待される効果は以下のとおりです。(図1、表1参照)

【特徴】

  • 転がり支承を共通ユニット化
    一台あたり8組の車輪とレールが一体となった自立可能な小型の転がり支承を共通ユニット化することにより、支承の最適配置と部品のストック等が可能となります。

  • 鉄骨構造の設置架台を合理化(分離製作と合理的構造)
    設置架台は、従来型とは異なりH形鋼を使用した連結可能な合理的な鉄骨構造としており、支承ユニットとは分離製作しているため、半導体製造装置の形状などに合わせて容易に製作可能です。また、設置架台の剛性は従来型より3〜5倍程度向上します。

【期待される効果】

  • 製作期間を従来型の約半分に短縮
    転がり支承の共通ユニット化と設置架台の分離製作により、免震装置を受注してからの製作期間を従来型の2~3か月から約半分の1~1.5か月に短縮可能です。

  • 歩行振動を抑制
    設置架台の剛性が向上したことにより、半導体装置を設置した架台の歩行振動が抑制されるため、半導体製造プロセスに与える影響を低減することが可能となります。

 今後、両社は、新型TASSユニットを半導体製造装置向け高性能免震装置「TASSユニット」のラインアップに加え、国内外を問わず広く普及展開してまいります。

図1 「転がり支承の共通ユニット化」と「設置架台の合理化」
図1 「転がり支承の共通ユニット化」と「設置架台の合理化」
表1 従来型と新型の比較
表1 従来型と新型の比較