AIを用いた車両と作業員の接触防止システム「T-iSafety® Truck」を開発

近接検知時の即時警告と近接状況の可視化により安全管理を向上

2022年9月26日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、株式会社IIU(代表取締役:宮達夫)と共同で、現場内に設置したカメラの画像データを基にAIが搬出入車両と作業員の位置を分析し、近接時に音声や回転灯による警告を発して接触防止を図るシステム「T-iSafety Truck」を開発しました。また、本システムは、リアルタイムな近接検知に加え、発生した不安全行動の確認やその後の周知のため、事後に近接状況の記録画像・統計データを可視化する仕組みを導入しており、現場における安全管理の継続的な向上が可能となります。

 工事現場では様々な形態の車両による搬出入作業があり、誘導員を配置して作業を行っていますが、現場での目視による確認だけでは見落としを生じさせる場合があり、誘導員と搬出入車両の接触事故や誘導員の死角になる箇所で事故発生のリスクがあるなど安全上の課題がありました。
 そこで、両社は、AIを活用し、現場内に設置したカメラの画像を基に様々な搬出入車両と誘導員を含む作業員との接触を未然に防ぐことができるシステム「T-iSafety Truck」を開発し、接触防止対策の改善を図りました。また、当社で施工中の工事現場において、2021年8月より本技術の導入・運用を試験的に開始し、その有効性が確認でき、搬出入作業における安全管理の向上を実現します。

 本技術の特長は以下のとおりです。(図1参照)

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    すべての搬出入車両に対応した高速・高精度な近接検知が可能
    現場内に設置したカメラと高速・高精度に物体を認識できるAIの活用により、搬出入車両と作業員の近接状況をリアルタイムに検知します。また、車両自体にセンサーやAIカメラ等を搭載する必要がなく、予め対象車両をAIに学習させることで工事に関係するすべての車両に対応可能です。(写真1、写真2参照)

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    警告灯と音声で近接状況を警告
    AIによる近接状況の判定結果を基に、搬出入車両と作業員が接近する場合は、警告灯の表示と警報音に加え、「車両が接近しています」などの具体的な内容を音声で警告します。

  3. 3

    誘導員とその他の作業員をAIが自動的に判別
    誘導員の装備をAIに学習させることで、誘導員とその他の作業員をAIが自動的に判別することができます。この機能を用いることで、誘導員は車両との一定離隔距離内で、その他の作業員は危険エリア内で警報を発するなど、別々の安全基準設定による近接検知が可能です。(写真3参照)

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    不安全行動の可視化と効果的な安全教育を実現
    AIによる近接状況の判定結果は、画像とともにクラウド上にデータベースで蓄積されるため、Webアプリを用いて過去の不安全行動により警告を発した件数や期間ごとの推移といった統計情報の可視化が可能です。また、不安全行動の画像やデータが記録されているため、不安全事例として関係者間で周知することにより、効果的な安全教育を行うことができます。

 今後、当社は、車両と作業員が往来する条件下で搬出入作業が必要となる工事現場に対して、本技術の導入を優先的に進め、工事現場における継続的な安全管理の向上を図ってまいります。

図1 T-iSafetyのプラットフォーム構成
図1 T-iSafetyのプラットフォーム構成
写真1 機材の設置状況
写真1 機材の設置状況
写真2 車両と作業員の近接検知状況
写真2 車両と作業員の近接検知状況
写真3 AIで自動判別する誘導員(右)とその他の作業員(左)の装備
写真3 AIで自動判別する誘導員(右)とその他の作業員(左)の装備
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