CO2排出量収支がマイナスとなる環境配慮コンクリートを建築物の門塀に初適用

「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」の自社施設以外への適用開始

2022年9月14日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、CO2排出量収支がマイナスとなるカーボンリサイクル・コンクリート(T-eConcrete®/Carbon-Recycle)を、自社施設以外では初めてとなるSMC株式会社下妻第2工場(茨城県下妻市、2022年4月竣工)の門塀に適用しました。

 カーボンリサイクル・コンクリートは、従来のコンクリートと異なりセメントを使用せず、高炉スラグを特殊な反応剤を用いて固めることで材料起因のCO2排出量の削減を図るとともに、大気中などのCO2を吸収して製造された炭酸カルシウムをコンクリート内部に固定することで、材料起因のCO2排出量収支マイナスを実現します。2021年2月の開発以降、自社施設の壁部材、現場打ち舗装および舗装ブロックに適用することで蓄積した製造・施工のノウハウを基に、この度、本材料を自社施設以外の構築物に初適用しました。

 今回適用したカーボンリサイクル・コンクリートの概要を表1に示します。

表1 カーボンリサイクル・コンクリート概要
部材の特徴

適用対象
(写真1参照)

工場の門塀(2箇所)

製造部材
(写真2参照)

プレキャスト部材6基 (大成建設(株)千葉PC工場製造)
基礎部は普通コンクリートを適用し、建築基準法に対応

部材寸法

幅0.75m~3.5m×高さ2.1m×厚さ0.17m

コンクリート数量

約3.1m3

コンクリート強度

設計基準強度:24N/mm2
圧縮強度:約50N/mm2
屋外環境を考慮し耐久性向上

(①~⑤の関係は図1参照)

CO2排出量収支

従来のコンクリートを使用した場合のCO2排出量

274kg/m3

セメントの置換(高炉スラグ等)によるCO2削減量

205kg/m3

炭酸カルシウムにより吸収・固定したCO2

119kg/m3

カーボンリサイクル・コンクリートのCO2排出量収支(①-②-③)

▲50kg/m3

コンクリート変更によるCO2削減量(②+③)

324kg/m3
(総量・約1.0トン)

図1 カーボンリサイクル・コンクリートの適用によるCO2削減量
図1 カーボンリサイクル・コンクリートの適用によるCO2削減量

 今後、当社ではカーボンリサイクル・コンクリートの適用を積極的に提案・推進することで、お客様の事業におけるCO2排出量※1削減を図るとともに脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

写真1 カーボンリサイクル・コンクリートを適用した門塀
写真1 カーボンリサイクル・コンクリートを適用した門塀
写真2 カーボンリサイクル・コンクリートを適用したプレキャスト部材 (門塀上部の黄色枠部分(地上部)に適用)
写真2 カーボンリサイクル・コンクリートを適用したプレキャスト部材
(門塀上部の黄色枠部分(地上部)に適用)
  1. ※1

    お客様が保有する建物の調達段階でのCO2排出量。国際基準「GHGプロトコル」のスコープ3に相当。